・実工事で高精度な安定掘進を実証
大成建設は7月8日、過去20現場・延べ約3万3,000mに及ぶシールド工事の施工データを活用した機械学習AIによるシールドマシン自動運転技術を開発し、国土交通省九州地方整備局発注の「鹿児島東西道路シールド工事」で実証したと発表した。熟練オペレーターに依存しない高精度な方向制御と安定した掘進を確認しており、シールド工事の施工品質平準化や省人化、安全性向上につながる技術として展開を進める。
シールド工法では、掘削時の余掘りや機体の蛇行、セグメント損傷を防ぐため、熟練オペレーターが複数の推進ジャッキを細かく制御しながら設計ルートに沿って掘進を行う。しかし、建設技能者の高齢化や人材不足が進む中、熟練技能に依存しない自動化技術の確立が課題となっていた。
今回開発したシステムは、シールドマシンの姿勢や方向、中折れ角、カッターヘッドに作用する土水圧、総推力など各種センサー情報をリアルタイムで機械学習AIが解析し、最適なジャッキ出力配分を自動算出するもの。外径11m級シールドでは30基のジャッキを個別制御し、目標線形への高精度な追従を実現する。
さらに、これまで施工した20現場、総延長約3万3,000mの実施工データを教師データとして学習し、水平・垂直方向それぞれ400種類の運転モデルを構築。施工中は最適なモデルを自動選択するとともに、セグメント1リング施工ごとに評価・再学習を行い、地盤条件や機械状態の変化に応じて制御を継続的に最適化する。
実証は鹿児島市で施工中の「鹿児島東西道路シールド工事」で実施した。泥土圧シールド工法を採用し、シールド外径11.34m、延長2.3kmの工事で、半径700mの曲線区間と1.47%の上り勾配という難条件下で検証を実施。その結果、水平・垂直方向とも目標線形への高精度な追従を確認し、自動運転による安定掘進を実証した。
AIによる方向制御では、力点位置の予測誤差を半径の4%以下、到達予測座標の誤差を3mm以下とする目標性能を設定しており、実工事でもいずれも目標値以内に収まる精度を確認した。中小断面から外径11m超の大断面シールドまで幅広い適用が可能としている。
同技術の導入により、余掘りや蛇行の抑制による施工品質の平準化に加え、切羽圧や推力、裏込め注入などの施工データと連携したリアルタイム制御による安全性・生産性向上も期待される。また、AIが制御判断を可視化することで、若手技術者の育成や技能継承にも活用できるという。
大成建設は今後、曲線区間や重要構造物近接施工など難条件を伴うシールド工事への適用を拡大する方針。将来的には切羽圧や排土量、裏込め注入の自動最適化に加え、関連設備との連携による「総合自動運転」へ発展させ、シールド工事のさらなる省人化と高品質施工の実現を目指す。
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