鴻池組、四足歩行ロボットで山岳トンネル切羽観察を実証

・自律歩行により危険エリアを無人探査、ガス検知や3Dデータ取得も実現

鴻池組は5月25日、ポケット・クエリーズと共同で、山岳トンネル工事における切羽(きりは)観察の安全性向上を目的に、四足歩行ロボットを活用した自律歩行実証実験を実施したと発表した。実験では、落石や崩落、可燃性ガスの発生リスクがある切羽近接エリアにおいて、無人での探査や環境情報取得が可能であることを確認した。

実証実験は2026年2月8日に実施。山岳トンネル工事では、地山状態を把握・記録するため切羽観察が不可欠だが、作業員が危険エリアに立ち入る必要があることが課題となっていた。両社はこの課題解決に向け、四足歩行ロボットを活用した切羽観察システムの開発を進めている。

今回のシステムでは、切羽手前約60m地点に設置した発進基地からロボットを起動。周辺環境をスキャンして自己位置を特定するとともに、側壁や設備、重機などの障害物情報を三次元空間データとして取得する。その後、解析したデータを基に障害物を回避しながら切羽方向へ自律歩行を行う。

ロボットは、あらかじめ設定した地点で自動停止し、切羽観察や環境データ収集を実施。作業終了後は、往路で取得した三次元空間データを利用し、同一経路を通って発進基地へ帰還する。発進基地には充電機能も備え、継続運用を可能としている。

実験では、中国ユニツリー(Unitree)製の四足歩行ロボット「B2-W」をベース機として採用。3D LiDARによる空間認識や障害物検知機能に加え、ガスセンサーやカメラシステムを搭載した。

主な搭載機能は以下の通り。

・3D LiDAR:空間認識、三次元環境マッピング、障害物検知
・ガスセンサー:CH4、O2、H2S、CO、CO2の検知・濃度測定
・ジンバルカメラ:高精度撮影
・POVカメラ:遠隔監視用映像取得
・制御PC:センサーデータ統合処理、移動制御
・通信モジュール:遠隔操作・監視対応
・フラッシュ表示灯:視認性向上

実験では、切羽手前15m地点で停止する設定とし、遠隔で風化変質や湧水状況を確認したほか、ガス検知も実施。取得データを基に総合的な環境評価を行った。帰還時には往路と同一ルートを自律走行し、安定した運用を確認した。

両社は、従来の目視観察と同等の精度を維持しながら、作業員の安全性向上と効率的な環境評価が可能になったとしている。

今後は、地山崩壊発生時の調査対応なども視野に、より複雑な地形条件での適用検証や長時間運用時の安定性向上に取り組み、実用化を目指す。

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