牧野フライス製作所は4月30日、MMホールディングスによる同社株式に対する公開買付け(TOB)が実施されないこととなったと発表した。両社は同日付で公開買付契約を合意解約した。
■ 外為法に基づく「中止勧告」が決定打に
MMホールディングスは2025年6月3日にTOBの開始予定を公表し、牧野フライス製作所もこれに賛同の意見を表明していた。当初は2025年12月上旬頃までに国内外の競争法・投資規制法令に基づくクリアランスの取得を完了する見込みとしていたが、手続きは長期化。2026年4月10日時点では、日本の外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づくクリアランスが未取得のまま残り、TOB開始時期を同年6月下旬と見込んでいた。
しかし4月22日、財務大臣および経済産業大臣は外為法第27条第5項に基づき、本TOBおよびその後の一連の株式取得手続きを「中止すること」の勧告をMMホールディングスに対して発出。牧野フライス製作所が防衛装備品メーカーでも広く使用される高性能工作機械を製造しており、同社が保有する情報が「他の情報と組み合わせることで国の安全に係る機微情報となるおそれがある」として、本株式取得が外為法第27条第3項に規定する「国の安全等に係る対内直接投資等」に該当すると判断された。
MMホールディングスは4月30日付で勧告応諾を財務大臣・経済産業大臣に通知し、TOBの不実施を正式決定した。
■ 約10カ月にわたる協議も実らず
MMホールディングスは2025年6月の公表以降、約10カ月にわたって当局とのクリアランス取得協議を継続。対米外国投資委員会(CFIUS)の最新実務も参照しながら、安全保障上の懸念を払拭するためのリスク軽減措置を提示するなど真摯に対応してきたとしている。同社は「結果として本公開買付けを実施しないこととなり、誠に残念」とコメントし、今後の牧野フライスのさらなる成長を祈念するとした。
■ 特別委員会の答申を経て取締役会が解約を決議
牧野フライス製作所側では、2025年1月10日付で設置していた特別委員会に対し、クリアランス取得が確実に不可能となったことから公開買付契約終了の是非について諮問。特別委員会から「終了することが適切」との答申を受け、同日開催の取締役会で合意解約を決議した。
■ 今後の経営方針と新たな買収提案
TOBの不実施を受け、牧野フライスは企業価値向上に向けた各種施策を検討中とし、詳細は5月中旬を目途に開示する予定。資本政策として、2026年3月31日時点の株主に対し1株あたり270円の期末配当を実施するほか、2027年3月期は中間配当160円・期末配当180円を予定しており、復配の方針を示した。
また、一部報道機関が報じた株式会社日本産業推進機構による買収提案について、同社から法的拘束力のない初期的な提案を受領したことを認め、特別委員会での協議を含む検討を開始していると明らかにした。企業価値および株主共同の利益の最大化に向け「あらゆる選択肢を検討している」としており、今後の動向が注目される。