三井E&Sが5月14日に発表した2026年3月期(2025年度)連結業績によると、受注高は前年度比1,058億95百万円減(△25.1%)の3,158億4百万円、売上高は舶用推進システム事業での大型エンジン・二元燃料エンジン増加や物流システム事業での大型工事進捗により、前年度比380億83百万円増(+12.1%)の3,531億96百万円となった。営業利益は売上高増加に加え両主力事業の損益改善などにより前年度比145億11百万円増(+62.7%)の376億41百万円、経常利益は同171億36百万円増(+61.7%)の448億92百万円となった。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は関係会社株式売却益の減少などにより前年度比6億17百万円減(△1.6%)の384億56百万円となった。
■連結業績の概況
2025年度の世界経済は、国際情勢や通商環境が不安定な中、主要国におけるインフレ率の安定化が進み、総じて底堅く推移した。ただし、2月以降の中東情勢緊迫化に伴う資源価格上昇や物価上昇、個人消費低迷などの下振れリスクも存在する。国内経済は個人消費の持ち直しや企業業績の堅調さを背景に緩やかな回復基調が続いているが、資源価格動向や物価上振れには注意が必要。
三井E&Sグループの主力である舶用推進システム事業に関連する造船業界では、日米協力覚書の締結や「造船業再生ロードマップ」の策定など建造能力拡大に向けた動きが進展。造船所の船台は埋まっており、2030年納期の新造船受注も見られるなど手持ち工事量は十分に確保されている。
物流システム事業も米国市場での競争優位性を維持し、アジア・国内の新設・増設・更新需要が堅調に推移した。この結果、当期の受注高は前期比減少したものの、売上高・利益は大幅に伸長した。
同社は不確実性の高い環境下で持続的成長を実現するため、ローリング方式の中期経営計画を採用。2025年5月に「三井E&S Rolling Vision 2025」を策定し、中核事業の成長と新規事業拡大、適正な配当政策による株主還元を推進している。
舶用推進システム事業ではグリーン戦略を強化。アンモニア焚きエンジンや燃料供給装置の開発を進め、川崎重工業との共同でLPG/アンモニア運搬船の基本設計承認(AIP)を取得。また、環境省・国土交通省のゼロエミッション船建造促進事業にも採択された。
物流システム事業ではクレーン輸送船「YAMATO」の自社保有により海上輸送能力を強化。東京港向けトランステーナ17基、Westports Malaysia向け15基、米国ロングビーチ港向けポーテーナ2基など大型受注を獲得した。
成長事業推進事業ではドローン点検サービス「FALCONs」などのデジタルソリューションを強化。財務基盤強化によりR&Iから発行体格付「A-」(ポジティブ)を新規取得した。
■セグメント別の連結業績の概況
(成長事業推進)
受注高は前期比26億68百万円減(△5.8%)の432億85百万円。売上高は同37億39百万円増(+9.3%)の437億57百万円、営業利益は同19億41百万円増(+28.4%)の87億72百万円となった。産業機械製品の増加とアフターサービス好調が寄与。
(舶用推進システム)
受注高は前期比818億81百万円減(△38.5%)の1,310億51百万円。売上高は同142億30百万円増(+10.5%)の1,497億37百万円、営業利益は同69億97百万円増(+93.6%)の144億74百万円となった。二元燃料エンジンやアフターサービスが好調。
(物流システム)
受注高は前期比95億53百万円減(△12.6%)の665億58百万円。売上高は同24億17百万円増(+3.9%)の651億85百万円、営業利益は同79億84百万円増(+134.1%)の139億39百万円となった。大型工事進捗と採算改善が寄与。
(周辺サービス)
受注高は前期比117億82百万円減(△13.6%)の747億80百万円。売上高は同191億39百万円増(+25.5%)の943億33百万円となり、営業損益は前期の16億15百万円の損失から8億26百万円の利益に転換した。
■今後の見通し
三井E&Sグループは「三井E&S Rolling Vision 2025」の下、財務戦略(ROICがWACCを上回る経営、キャッシュ配分の最適化)、人材戦略、事業戦略(グリーン・デジタルによる中核事業強化と新規事業展開)を推進する。
次期2027年3月期の連結業績予想は、売上高3,700億円(前期比+4.8%)、営業利益320億円(△15.0%)、経常利益370億円(△17.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益300億円(△22.0%)を見込む。為替前提は1米ドル=150円。
配当については、当期は年間57円(中間15円、期末42円)に増配。次期は年間60円(中間30円、期末30円)を予定し、配当性向20%を目標に段階的な増配を継続する。
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