島津製作所、アステラス製薬と共同で低分子医薬品向けロボットHTE自動化装置「AtmosOrchestra」を開発

・反応条件スクリーニング工程を完全無人化、省人化と高スループットを実現

島津製作所5月19日は、アステラス製薬と共同開発した低分子・中分子医薬品の反応条件スクリーニング専用ロボットHTE(High-Throughput Experimentation)自動化装置「AtmosOrchestra(アトモスオーケストラ)」を完成させ、本年4月下旬よりアステラス製薬つくば研究センターに導入したと発表した。

医薬品開発初期段階における煩雑なサンプル合成作業を、産業用ロボットアームと同社製分注装置などを組み合わせた特別仕様機で全工程無人化。創薬から安定供給に向けたCMC(Chemistry, Manufacturing, and Controls)研究のボトルネック解消に大きく貢献する装置として注目される。
同装置は、5月20日から22日まで幕張メッセで開催される「インターフェックス ジャパン」において発表される予定。

分析・解析の効率化で顕在化した「実験工程」のボトルネック
HTEは、触媒・溶媒・温度・濃度などの膨大なパラメータ組み合わせを高速・並行的に探索する手法で、創薬プロセス最適化に不可欠となっている。近年、分析機器とAI解析の進化により「分析・解析」工程が大幅に高速化された一方、人手依存の「実験工程」が新たなボトルネックとなっていた。
「AtmosOrchestra」はこの課題に対し、分注→溶媒乾燥→分注→反応(加熱撹拌)→溶媒乾燥の全工程を自動化。反応チャンバー内を窒素置換することで、酸化や吸湿に敏感な化合物の取り扱いも可能にした。

■主な特長

  1. 最大768サンプルの高速並行処理
    8連加熱撹拌モジュールと3台の分注装置を搭載。一度の稼働で96検体バイアル×8枚の専用プレート、最大768サンプルの処理を実現する。夜間・休日稼働により、従来の手作業では困難だった大規模スクリーニングを省人化・高速化する。
  2. 低酸素・低露点環境下での信頼性向上
    反応チャンバー内に全機能モジュールとロボットアームを内包。パスボックス経由で試薬供給・サンプル回収を行う密閉システムにより、化合物の品質劣化を最小限に抑える。医薬品開発で特に要求される精密な反応制御に対応する。
  3. 条件設定とトレーサビリティを支えるソフトウェア
    島津の制御ソフトウェア「LabSolutions DB」を採用。複雑な多条件スクリーニング設定を容易に行えるほか、アカウント管理や自動レポート作成機能により、サンプルのトレーサビリティを確保している。

島津製作所は、AIとロボットを活用した「アナリティカルトランスフォーメーション(AX)」を推進しており、今回の共同開発はその具体的な成果の一つとなる。ラボにおけるワークフローの自動化・無人化を通じて、医薬品開発期間の短縮と研究者の創造的業務へのシフトを後押しする。

アステラス製薬つくば研究センターへの実導入により、実際の創薬現場での運用検証が開始されており、今後の低分子医薬品開発プロセス革新への寄与が期待される。

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