日本精工、工作機械技術振興財団「論文賞」を受賞

・ボールねじ送り系の軸力安定化技術を評価、高精度加工・信頼性向上に貢献

日本精工(NSK)は7月7日、公益財団法人 工作機械技術振興財団が選定する「2025年度(第47次)工作機械技術振興賞・論文賞」を受賞したと発表した。受賞対象となったのは、工作機械のボールねじ送り系における「軸力の状態安定化機構」に関する研究論文で、高精度加工を支える新たな技術開発として評価された。

工作機械技術振興賞は、工作機械技術に関連する優れた論文を対象に、新規性、独創性、産業応用性などの観点から選考される表彰制度。なかでも論文賞は、大学、高専、公的研究機関、企業などの研究者を対象に、工作機械の発展・進歩への貢献が期待される独創的な研究成果を顕彰するもので、ものづくり分野で権威ある賞として位置付けられている。

今回受賞した論文は、「Foundational development, modeling and configuration of state stabilizing mechanism to maintain axial tension in ball screw feed drive systems」(Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.19, No.1,2025)。NSKの産業機械技術総合開発センター 新井覚エグゼクティブ・チーフエンジニア、デジタルツイン推進室 竹之内優志氏、本多信太郎氏、コア技術研究開発センター 谷翔太主任が執筆した。

研究では、工作機械のボールねじ送り系において、発熱によるボールねじの伸長が発生した場合でも、摩擦状態を安定的に維持する「軸力の状態安定化機構」を提案。軸受で発生する摩擦熱を利用してボールねじの軸力を維持する仕組みを考案し、解析モデルの構築と実機評価によって有効性を実証した。

従来、ボールねじの熱変形対策は、発生した変化への対応策が中心だったが、今回の研究では軸力を自律的に安定化させる新たなアプローチを確立。工作機械のさらなる高精度化や加工品質の安定化、設備信頼性向上への寄与が期待される点が高く評価された。

同財団の新野秀憲審査委員長(東京科学大学名誉教授、職業訓練大学校名誉教授)は、「従来ボールねじの熱変形対策は対処療法がほとんどであった。これに対し、本研究では軸力を自律的に安定化させる手法を提案することで工作機械の高精度化と信頼性向上に寄与する成果を創出しており、その点を高く評価した」とコメントしている。

NSKはこれまでにも、ボールねじ送り系の状態安定化技術「NSK Feed Drive Adjuster」を開発するなど、工作機械の性能向上に向けた技術開発を推進している。今回の受賞は、同技術分野における研究成果が産業界から認められたものとなる。

同社では、軸受技術をはじめ、ボールねじや精機製品などの高機能部品開発を通じて、工作機械を含む幅広い産業分野の高性能化、省エネルギー化、スマート化に貢献していく方針。

■概要
受賞名:2025年度(第47次)工作機械技術振興賞・論文賞
受賞者:
・日本精工 産業機械技術総合開発センター 新井覚(エグゼクティブ・チーフエンジニア)
・デジタルツイン推進室 竹之内優志
・デジタルツイン推進室 本多信太郎
・コア技術研究開発センター 谷翔太(主任)

受賞論文:
「Foundational development, modeling and configuration of state stabilizing mechanism to maintain axial tension in ball screw feed drive systems」

研究内容:ボールねじ送り系の軸力を自律的に安定化する機構を開発。摩擦熱を利用して軸力を維持する技術を確立し、工作機械の高精度化と信頼性向上に貢献。

■日本精工(NSK)概要:1916年創業。軸受、自動車部品、精機製品などを展開する総合精密機械メーカー。世界約30カ国に拠点を展開し、軸受分野では世界有数のシェアを持つほか、ボールねじ、電動パワーステアリングなどでもグローバルに事業を展開している。

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