技研製作所は7月3日、シンガポールにおいて杭圧入引抜機「サイレントパイラー™」を用いたハット形鋼矢板の圧入工法の採用が拡大していると発表した。交通インフラや都市再開発プロジェクトでの実績を背景に、同社グループの技術支援を通じて現地市場の開拓が進んでおり、硬質地盤対応のハット形鋼矢板圧入機は直近1年間で6台を販売した。
同国では、交通渋滞緩和を目的とした道路トンネル建設や地下鉄改修に加え、国内最大級の複合スポーツ施設を整備する「トアパヨ統合開発事業(TPID)」など、大規模な都市基盤整備で圧入工法の採用が進んでいる。施工は現地のGTOSS™ ASIA会員企業が担当し、建設関係者だけでなく行政関係者からも高い評価を得ているという。
採用が広がる背景には、同社の「硬質地盤クリア工法」の性能がある。同工法は砂礫層や岩盤層など従来工法では施工が難しい硬質地盤に対応しながら、低振動・低騒音で高い鉛直精度と安全性を確保できる点が特徴。これに1枚当たり幅900mmのハット形鋼矢板を組み合わせることで施工効率を高め、施工条件が厳しい都市部での工期短縮や施工性向上に寄与している。
ハット形鋼矢板の圧入工法は日本でも国土交通省の土木工事積算基準に掲載されるなど実績を有し、技術指導や保守サービスを含めた同社の支援体制も評価されている。
代表的な採用事例となったTPIDでは、シンガポール中央部トアパヨ地区で整備が進む大型複合施設のうち、国内最大級となる複合スポーツ施設の外周土留め工事に同工法を採用。GTOSS™ ASIA会員企業のミトゥリエンジニアリング(Mittri Engineering Pte. Ltd.)が施工を担当し、2025年7月から2026年2月までの約8カ月間で延長約520m、580枚のハット形鋼矢板を圧入した。施設全体の完成は2030年を予定している。
施工現場は住宅密集地に位置し、N値100に達する硬質地盤で15~24mの長尺鋼矢板を高精度に施工する必要があった。このため、低振動・低騒音で安全性にも優れる「サイレントパイラー™」による硬質地盤クリア工法が採用された。技研製作所アジア(Giken Seisakusho Asia Pte., Ltd.)は施工計画から現場施工まで一貫して技術支援を実施したほか、施工会社の技術者に対し、日本で圧入施工技術を学ぶ実践型研修「圧入道場」を実施し、施工品質の向上を支援した。
シンガポールの建設市場は2025年から今後10年間、年平均5%超の成長が見込まれており、交通・環境インフラ整備や都市再開発が市場拡大をけん引すると予測されている。技研製作所は今後もGTOSS™ ASIA会員企業との連携を強化し、最適な工法と機械を提供することで、同国における圧入市場のさらなる拡大を目指すとしている。
■工事概要(項目:内容)
工事名:Toa Payoh Integrated Development(Sports Hub)
工事場所:シンガポール・トアパヨ地区(Lorong 6 Toa Payoh付近)
発注者:Sport Singapore
元請業者:Koh Brothers Building & Civil Engineering Construction Pte. Ltd.
施工業者:Mittri Engineering Pte. Ltd.
使用機材:サイレントパイラー™ F301-900
使用杭材:ハット形鋼矢板580枚(25H、45H、50H、長さ15~24m)
圧入工期:2025年7月~2026年2月
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