・北米市場でのプレゼンス拡大とデジタルトランスフォーメーション加速
日立レールは7月2日、米国を拠点とする公共交通向け高度道路交通システム(ITS)大手Clever Devices(クレバー・デバイシズ)の買収を完了したと発表した。本買収により、日立レールは鉄道分野を超えたマルチモーダルモビリティ領域への事業拡大を加速させ、特に北米市場における競争力を大幅に強化する。
Clever Devicesは、車両運行管理や乗客サービス向上、運行効率化を実現する先進的なITSソリューションを提供する企業として知られる。米国、欧州、南米に拠点を置き、北米の大手公共交通機関10社中8社にソリューションを導入するなど、強固な実績を有する。従業員約600人を擁し、2026年の売上高は2億2,000万ドル(約359億円、163円換算)超を見込む。
日立レールは本買収を通じて、Clever Devicesの車載・運行管理データソリューションを自社のデジタルアセットマネジメントプラットフォーム「HMAX Mobility(特にHMAX for Rail)」と統合。フィジカルAIを活用した鉄道のデジタルツイン構築や、センサー技術・AI・エッジコンピューティングを組み合わせた資産最適化をさらに進化させ、公共交通全体の情報精度向上と定時性向上を実現する。
■新CEOにFrank Antonysamy氏就任
買収に伴い、これまでHitachi DigitalでChief Growth Officerを務め、日立の産業向けAI事業立ち上げを主導したFrank Antonysamy(フランク・アントニサミー)氏がClever DevicesのCEOに就任した。
日立レールグループCEOのGiuseppe Marino氏は次のようにコメントした。
「本買収は、公共交通のデジタルトランスフォーメーションを推進する当社の戦略における重要なステップです。Clever Devicesの高度なITS技術と当社のグローバル展開力、HMAX Mobilityを組み合わせることで、鉄道分野にとどまらない事業拡大と北米でのプレゼンス強化を実現します。今後、都市におけるより統合的で持続可能かつ効率的な交通ネットワークの構築に貢献していきます。」
新CEOのFrank Antonysamy氏は「日立レールの一員として、HMAXへの投資と115年以上にわたるOTの知見を生かし、イノベーションの加速とグローバル展開の拡大を図ります。先進的なデジタルモビリティソリューションを通じて、交通事業者および利用者への価値提供を一層強化していきます」と意気込みを語った。
■北米投資戦略のさらなる加速
日立レールはこれまでも北米市場への投資を積極的に進めてきた。米国メリーランド州ヘイガーズタウンでの1億1,000万ドル規模のデジタル工場開設や、カナダでの新本社設立(約34億円投資)など、インフラ強化を着実に進展させており、今回の買収はこれらの取り組みをさらに加速させるものとなる。
本件は日立の戦略SIBビジネスユニットとの連携のもと実施され、Hitachi Digital、GlobalLogic、Hitachi Digital Servicesなどグループ各社のデジタル技術とのシナジー創出も期待されている。