・ボンネビルで世界最速記録挑戦へ前進
JCB:2026年6月25日
英建機大手のJCBは、水素エンジン搭載の高速試験車「JCBハイドロマックス(JCB Hydromax)」の英国国内試験を完了し、最高速度208mph(約335km/h)を達成したと発表した。これにより、来月予定する米国ボンネビル塩原での水素車による世界陸上速度記録挑戦に向けた準備が大きく前進した。
試験は英国ケンブリッジシャー州の英国空軍基地ウィタリング空軍基地(RAF Wittering)で実施。全長32フィート(約9.8m)の車両を、陸上速度記録保持者として知られるアンディ・グリーン空軍中佐(Andy Green)氏が運転し、水素燃料のみで208mphを記録した。これは開発初期段階で記録した177mphから大幅な性能向上となる。試験は前日に完了した。
今回の試験では最高速度の更新だけでなく、実走行による車両挙動データの取得や技術的知見の蓄積、チーム間の運用連携強化も重要な成果となった。加えて、水素燃料補給プロセスも改善。短時間での再挑戦が成否を左右するボンネビル塩原での記録挑戦を見据え、迅速かつ効率的な燃料供給体制を整えた。
JCB会長のアンソニー・バンフォード卿(Anthony Bamford)氏は、「英国での試験プログラムは期待以上の成果をもたらした。走行性能を実証した車両、運用を熟知したクルー、理論では得られない実データを手にした。今後はボンネビル塩原と新たな水素陸上速度世界記録に全力を注ぐ」とコメントした。
プロジェクトを率いるJCBエンジニアリングディレクターのライアン・バラード(Ryan Ballard)氏は、「208mph到達は大きな成果だが、本当の価値は試験を通じて得た知見にある。高負荷時の車両挙動、水素補給手順、現場運営体制を徹底的に磨き上げた。燃料補給やタイヤ交換など、塩原で初めて経験する作業は何一つない状態で現地入りする」と述べた。
ドライバーのアンディ・グリーン氏も、「英国で208mphを達成できたことは非常に心強い。車両の完成度は高く、チームの一体感も増している。次はいよいよ世界陸上速度記録の聖地、ボンネビルだ」と期待を示した。
JCBハイドロマックスは5月12日にJCB世界本社(JCB World HQ、英国スタッフォードシャー州)で公開された。動力源にはJCBが量産技術をベースに開発した水素燃焼式建機エンジン2基を搭載し、合計出力は1600bhp(約1620馬力)に達する。英国試験完了後は米国への輸送準備に入る。
JCBはバンフォード卿主導のもと、水素内燃機関技術へ総額1億ポンド(約200億円)を投資しており、すでに生産ラインで製造される油圧ショベルへの搭載も進めている。
同社は速度分野で実績を持つ。2006年にはアンディ・グリーン氏が「JCBディーゼルマックス(JCB Dieselmax)」を操縦し、国際自動車連盟(Fédération Internationale de l’Automobile:FIA)公認のディーゼル陸上速度記録350.092mph(約563km/h)を樹立。この記録は現在も保持されている。JCBは、より軽量かつ高出力なハイドロマックスでその更新を狙う。
米ユタ州では、まず南カリフォルニア計測協会(Southern California Timing Association:SCTA)が主催する「スピードウィーク(SpeedWeek)」に参戦し、その後FIA公認記録への正式挑戦を行う予定。
今回の挑戦は、JCBが米テキサス州サンアントニオに建設中の総投資額5億ドル規模の新工場稼働を控えるタイミングで実施される。JCBはこれまでも速度技術に挑戦しており、2019年には「JCBファストラック(JCB Fastrac)」で世界最速トラクター記録135.191mph、2014年には「JCB GT」でバックホーローダー速度記録72.58mphを樹立している。
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