北川鉄工所、25年度売上は2.0%増の584億円、26年度予想は7.0%増の625億円

北川鉄工所が5月13日に発表した2026年3月期(2025年度)連結業績によると、売上高は584億1,500万円(前期比2.0%増)、営業利益は26億8,800万円(同43.6%増)、経常利益は25億4,500万円(同9.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は31億2,800万円(同150.9%増)となった。金属素形材事業においてメキシコ子会社で自動車部品の受注量が減少し減収となったものの、工作機器事業では海外市場での売上が増加したほか、産業機械事業においてコンクリートプラント事業のメンテナンス工事が好調に推移し、荷役機械事業でも大型クライミングクレーンおよびマストの売上が増加したことから、前期比で増収となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、同社およびタイ子会社において有形固定資産の売却に伴う特別利益を計上したため、前期比で大きく増加した。

2025年度における世界経済は、米国の通商政策や中国経済の減速、イスラエル・パレスチナ間の紛争に加え、2月には米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃が行われるなど中東における地政学的リスクが一段と高まり、先行き不透明な状況が続いた。これに伴う原油価格の上昇や物流網への影響は、世界的なエネルギー価格の押し上げ要因となり、世界経済の停滞を招き得る新たなリスクとして顕在化した。国内経済においても雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の底堅さや、旺盛なインバウンド需要に支えられ、景気は緩やかな回復基調で推移した。一方で、深刻な人手不足に伴う人件費の上昇や物価の高止まり、金利上昇など不確実性の高い状況が続いた。このような経営環境のもと、同社グループは長期経営計画「Plus Decade 2031」および「中期経営計画2027」に基づき、基盤事業の収益力の改善・強化および資本の効率的な活用を通じて、事業および収益構造の転換に向けた基盤構築を着実に推進している。

北川鉄工所2026年3月期データ

■ セグメントごとの業績
<キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)>
 
国内市場は減少したが、海外市場で中国やインドなどを中心にEMS(電子機器受託製造)関連の売上が増加し、売上高は98億7,000万円(前期比9.3%増)となった。一方、セグメント利益(営業利益)については、国内市場の減収や海外市場における価格競争、工場移設に伴う一時的な費用の発生等により2億2,100万円(前期比48.3%減)となった。

<キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)>
 
コンクリートプラント事業のメンテナンス工事が好調に推移したこと、また、荷役機械事業においても大型クライミングクレーンおよびマストの売上が前期比で増加したため、売上高は220億300万円(前期比10.0%増)となった。セグメント利益(営業利益)についても、コンクリートプラント事業の売上増加および荷役機械事業の収益改善、自走式立体駐車場事業の収益の安定化により28億600万円(前期比68.2%増)となった。

<キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)>

自動車エンジン部品の需要伸長により国内生産は堅調に推移したが、半導体不足による自動車メーカーの減産や鋳物部品の需要減少などの影響によりメキシコ子会社の生産量が減少したため、売上高は243億1,900万円(前期比1.6%減)となった。一方、セグメント利益(営業利益)については、ライン稼働率の向上による固定費効率の改善、歩留まり改善や工程合理化等のコスト構造改革、間接業務の効率化に努めたことで6億600万円(前期セグメント損失(営業損失)1億2,800万円)となった。

<半導体関連事業>
 
連結子会社である北川グレステック株式会社において、AI関連需要に関係する消耗品販売や受託加工が堅調に推移したが、前期でハードディスク製造装置の大型案件が完了した影響が大きく、売上高は17億8,000万円(前期比29.1%減)となった。セグメント利益(営業利益)についても、売上高減少の影響を受け、1億3,800万円(前期比76.3%減)となった。

■ 今後の見通し
次期の経営環境については、世界経済は中東情勢の緊迫化や米中貿易摩擦などの地政学的リスクや欧米を中心とした高水準の金利政策の影響による景気下振れ懸念など、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想される。国内経済は、深刻化する労働力不足を背景とした省人化・自動化投資の拡大、ならびに賃上げに伴う個人消費の底堅さにより、緩やかな回復基調が続くことが期待されているが、地政学的リスクの高まりや金利上昇に伴う金融環境の変化、物価の高騰等による景気の下振れに対する懸念もあり、先行きの見通せない状況が予想される。このような状況のもと、同社グループは次期を、長期経営計画「Plus Decade 2031」および「中期経営計画2027」の目標達成に向けて変革を加速させ、成果を一段と引き上げる「飛躍」の年と位置づけ、全社一丸となって持続的な成長と企業価値の向上に取り組む。具体的には、「選択と集中」を軸として、成長産業への製品展開や製品戦略の見直しを断行するとともに、低採算事業における価格適正化と高付加価値業務へのパワーシフトを強力に推進し、FX(ファクトリートランスフォーメーション)やDXの進化を通じた品質・原価・納期の抜本的な改善を図っていく。
 
2027年3月期(2026年度)の業績見通しについては、売上高は625億円(前年度比7.0%増)、営業利益は30億円(同11.6%増)、経常利益は30億円(同17.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億円(同36.1%減)を見込んでいる。
 
次期のセグメントごとの主な取り組みは次のとおり。

<キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)>

「新たな成長に向けて変革の取り組みをスピード感をもって実践する」を事業方針に掲げ、旋盤用チャックで培った「つかむ、把握する」というコア技術をベースにお客様の課題を解決する「ワークホールディングソリューション」への転換を加速する。従来の製品販売を中心とした「モノ売り」から、エンジニアリングやサービス等を付加した「コト売り」へ事業を変革し、半導体、航空機、医療、エネルギーといった成長産業向けに高付加価値な新製品や自動化パッケージを投入する。海外展開については、需要が拡大するインドでの現地生産拡充やメキシコ、ベトナムといった重点市場におけるエンジニアリングおよびアフターサービスを強化し、グローバルシェアの拡大と収益力の強化を同時に図る。以上により、売上高は108億円、営業利益は5億4,000万円を見込んでいる。

<キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)>

「収益力の飛躍的な向上と強固な事業基盤を確立する年度」と位置づけ、各部門の戦略的施策を強力に推進する。コンクリートプラント事業においては、設計工程の効率化により圧倒的な競争力を持つリードタイムの実現に取り組むとともに、高付加価値オプションの投入により収益力を高める。荷役機械事業では、社会インフラ環境等の成長分野でニッチな市場を創造する特殊荷役機械を新たな事業の柱へと育成させ、大型クライミングクレーンのシェア拡大に向けた戦略的販売と生産体制の強化を推進する。以上により、売上高は218億円、営業利益は19億7,000万円を見込んでいる。

<キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)>
「既存事業の抜本的な収益性改善と新領域への進出に向けた基盤構築の年度」と位置づけ、持続的な成長を実現する。基準となる限界利益率を設定して販売価格の適正化を強力に推進し、原価低減活動による価格競争力の強化および安定的な収益構造への転換を図る。また、新規顧客の開拓や新規案件の獲得を通じた操業度の改善に注力し、可動率の向上や徹底した不良率の低減により、生産キャパシティの拡大とコスト競争力のさらなる強化を追求する。以上により、売上高は258億円、営業利益は11億円を見込んでいる。 

<半導体関連事業>

営業拠点の増設および組織の再編成を行い、半導体関連装置のさらなる受注拡大を目指す。あわせて、長岡研究所に新たに建設した研究開発棟を活用し、製品開発を加速させる。また、販売を強化してきた半導体関連装置の受注が堅調に推移しており、次期の売上に貢献する見込みである。以上により、売上高は26億円、営業利益は3億円を見込んでいる。
 
なお、ホルムズ海峡の封鎖による原油の供給不足がエネルギー価格の高騰や原材料の需給逼迫を引き起こし、同社においても一部の生産活動に支障をきたす可能性があるが、これらの影響を現時点で合理的に算定することは困難なため、業績予想には織り込んでいない。今後、業績予想の修正が必要となった場合には速やかに開示する。​​​​​​​​​​​​​​​​

北川鉄工所の2026年3月期決算短信