日立レール、トロント地下鉄2号線の信号更新を受注、CBTC導入で輸送力40%向上へ

日立レールは7月17日、カナダ・トロント交通局(TTC)からトロント地下鉄2号線の信号システム更新プロジェクトを受注したと発表した。1960年代から使用されてきた信号設備を、自社のデジタル列車制御システム「SelTrac™ CBTC(Communications-Based Train Control)」へ更新し、輸送力や運行の信頼性、安全性を大幅に向上させる。更新完了後はピーク時の輸送力を現行比最大40%増となる1時間当たり3万3,000人まで引き上げる計画。

今回導入されるSelTrac™ CBTCは、地上設備と列車間の無線通信を活用する自動列車制御システムで、列車位置をリアルタイムに把握しながら安全な列車間隔を維持することで、高頻度運行を実現する。これにより列車間隔を短縮しながら安全性を確保し、混雑緩和と輸送効率の向上を図る。

現在、トロント地下鉄2号線のピーク時輸送力は1時間当たり約2万3,400人だが、システム更新後は約3万3,000人まで拡大する見込み。1日50万人以上が利用する同路線で、定時性や運行信頼性、乗客の利便性向上に加え、将来の利用者増加にも対応する。

新システムは、スカボロー方面への7.8km延伸区間にも採用される。同区間ではシェパード駅、マッコーワン駅、スカボロー駅の3駅を新設し、約3万8,000人が地下鉄駅の徒歩圏内となる見通しで、地域の交通利便性向上や経済活動の活性化が期待されている。

信号システムの設計・試験・供給は、日立レールが約3,000万カナダドルを投資したトロントのカナダ本社で実施する。同拠点はグローバル信号コンピテンスセンターとして機能し、約1,100人の従業員を擁する世界的な信号技術開発拠点となっている。バンクーバーやロンドン、シンガポール、ニューヨークなど世界各地の都市鉄道向け信号システムもここから供給している。

さらに日立は、総額1億カナダドルの投資計画の一環として、同拠点でAIや5Gを活用した次世代信号技術の開発も進めており、より高度で効率的な鉄道システムの実現を目指す。

日立レールは1970年代にトロントでCBTC技術を開発し、当時のスカボロー線へ初導入した実績を持つ。同技術はその後50年以上にわたり進化を続け、現在では世界40カ国以上、100路線超の都市鉄道で採用されている。今回導入される第9世代のSelTrac™ CBTCは、技術発祥の地であるトロントへ再び導入されることになる。

アルノー・ベッセ日立レール・カナダ法人マネージングディレクター兼COOは、「トロントで開発した世界最先端技術により、2号線の輸送力を最大40%向上させるとともに、利用者の利便性と信頼性を高められることを誇りに思う」とコメントした。

また、オリビア・チョウ・トロント市長は「自動列車制御システムの導入は約200人の雇用を支え、地域経済にも貢献するとともに、市民や来訪者へより高頻度で信頼性の高い公共交通サービスを提供する」と期待を示した。

■プロジェクト概要

  • 発注者:トロント交通局(Toronto Transit Commission:TTC)
  • 受注者:日立レール
  • 対象路線:トロント地下鉄2号線(ブロア・ダンフォース線)
  • 工事内容:既設信号システムを「SelTrac™ CBTC」へ更新
  • 導入効果:輸送力を最大40%向上(ピーク時2万3,400人/時→最大3万3,000人/時)
  • 適用範囲:既設31駅・26kmに加え、スカボロー方面7.8km延伸区間にも導入
  • 開発拠点:日立レール・トロント グローバル信号コンピテンスセンター(約1,100人体制)

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