豊田通商、全方向移動ロボット開発のTriOrbに出資、次世代のフレキシブル生産ライン実現へ

豊田通商は8月7日、球体駆動による全方向移動技術を強みとし、次世代の搬送ロボットプラットフォームを開発するスタートアップ、TriOrb(トライオーブ、福岡県北九州市)に出資したと発表した。TriOrbの独自技術と豊田通商グループが持つ製造現場での機械設備分野の知見やグローバルネットワークを組み合わせ、従来の搬送システムでは対応が難しかった柔軟なレイアウト変更や高度な搬送を実現し、次世代のフレキシブルな生産ラインの構築を目指す。

製造業では、労働力不足の深刻化に加え、多品種少量生産への対応が求められており、生産現場の自動化・高度化が重要な課題となっている。特に、生産品目や工程の変更に合わせて生産設備や物流動線を柔軟に変更できる搬送システムへのニーズが高まっている。

これまでAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)などの無人搬送システムが導入されてきたが、固定化された物流動線や平坦な床面を前提としたものが多く、狭隘空間や段差、溝、凹凸のある環境への対応、レイアウト変更への柔軟性などに課題があった。

豊田通商はこれまで、モビリティ産業を中心に国内外の製造業へ産業用ロボットや搬送ロボットの導入を進め、生産現場の自動化を支援してきた。今回の出資では、こうした取り組みをさらに発展させ、「移動の制約」を解消する次世代の移動・搬送基盤の実現につなげる。

TriOrbは2023年2月設立。球体駆動ロボットおよび関連ソフトウエアの開発・生産・販売を手掛ける。同社のコア技術は、3つの球体を駆動部に用いる特許技術「TriOrb BASE」で、車輪式とは異なり360度あらゆる方向への移動を可能とする。段差や溝、勾配などにも対応できる高い走破性を特徴とする。

また、4方向に配置したカメラで周囲の空間を把握するVisual SLAMと組み合わせることで、ミリメートル単位の高精度な移動制御を実現。さらに、複数台のロボットを連携させる協調搬送にも対応し、長尺物や重量物の搬送など、従来の無人搬送システムでは対応が難しかった用途への展開を可能にする。

豊田通商は今後、TriOrbの自律走行搬送ロボットを、生産設備や産業用ロボットそのものを移動させるプラットフォームとして製造現場に活用する。両社で具体的なユースケースの確立と標準化を進め、将来的にはグローバル市場への展開も視野に入れる。

全方向移動技術と豊田通商グループの製造業向けソリューション提供力を融合することで、設備や搬送動線を柔軟に再構成できる次世代生産ラインの実現を目指す。製造現場の省人化・自動化と生産性向上を通じ、労働力不足などの社会課題への対応にもつなげる考えである。

■TriOrbの概要
会社名:株式会社TriOrb
所在地:福岡県北九州市
設立:2023年2月
資本金:1億円
代表者:代表取締役 石田秀一
事業内容:球体駆動ロボットおよび関連ソフトウエアの開発・生産・販売

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