川崎重工、播磨工場に国内最大級の液化水素機器試験設備

・共創基盤整備で商用化実証を加速

川崎重工業は6月23日、播磨工場(兵庫県加古郡播磨町)の水素技術開発拠点内に、液化水素関連機器の開発・実証を加速する国内最大級の試験設備を整備すると発表した。2027年度中の運用開始を目指す。液化水素サプライチェーンの商用化実証の進展を背景に高まる試験・検証需要に対応し、社内開発基盤として活用するほか、大学・研究機関、パートナー企業にも開放することで、水素社会の実装を支える共創基盤の構築につなげる。

新設する設備は、液化水素の実液を実用規模で扱いながら試験可能な屋内設備で、国内最大級の規模となる。極低温(マイナス253℃)環境下での試験・検証を繰り返し実施し、水素関連機器やシステムの品質向上と安全性確保を図る。

設備は耐圧重厚壁構造と圧力開放型屋根を採用し、47立方メートルの液化水素タンクや計測室を備える。水素技術開発拠点全体の敷地面積は約1万1,000㎡で、同拠点内には遠心式水素圧縮機、水素ガスエンジン、水素液化機の実証設備も併設している。

試験対象は、機器・装置レベルでの機能実証や性能評価に加え、部品レベルの動作・性能確認、材料レベルの特性評価や適合性確認など幅広い。複数の実験室を活用して並行試験を可能にし、液化水素関連機器の要素技術開発期間の短縮を狙う。

同社は今回の整備により、①安全・安心を支える技術基盤強化、②要素技術開発の加速、③産学連携・企業協業による技術裾野拡大――の3点を重点施策に位置付ける。共同研究や共同開発を通じて基盤技術を高度化し、液化水素分野への参入を目指す企業との連携拡大も進める。

川崎重工はグループビジョン2030において「エネルギー・環境ソリューション」を重点領域に掲げ、水素サプライチェーン全体の構築を推進している。2025年11月には液化水素基地「川崎LH₂ターミナル」を起工、2026年1月には世界最大となる4万立方メートル型液化水素運搬船の造船契約を締結するなど、商用化実証を本格化させている。

これまで同社は、JAXA種子島宇宙センター向け液化水素タンクの納入、世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」による日豪間輸送、液化水素荷役実証ターミナル「Hy touch 神戸」での実証などを展開。近年は水素航空機向け燃料タンクの液化水素充填試験にも成功しており、技術適用領域を拡大している。今回の設備整備を通じ、国際水素サプライチェーン構築とカーボンニュートラル社会の実現を後押しする。

■プロジェクト概要
・事業名=液化水素関連機器試験設備整備プロジェクト
・事業主体=川崎重工業
・所在地=川崎重工 播磨工場 水素技術開発拠点内(兵庫県加古郡播磨町
・総敷地面積(水素技術開発拠点)=約1万1,000㎡
・設備構成=耐圧重厚壁、圧力開放型屋根、液化水素タンク(47㎥)、計測室
・開発対象=機器・装置レベルの機能実証・性能評価、部品レベルの動作・性能確認、材料レベルの特性評価・適合性確認など
・特徴=液化水素実液を用いた国内最大級の屋内試験設備、複数実験室による並行試験対応、産学連携・共同開発向け共創基盤
・運用開始=2027年度中予定

ニュースリリース