・オランダ・アムステルダム港を起点に、中流領域(海上輸送・ターミナル・船陸整合)を強化
・多様な供給ルートでエネルギー安全保障と脱炭素化を加速
川崎重工業は5月21日、オランダ・ロッテルダムで開催中の「World Hydrogen Summit & Exhibition」において、ギリシャのEcoLog Ltd.と液化水素サプライチェーンの中流領域における戦略的提携に関する覚書(MoU)を締結したと発表した。
本提携は、EcoLog社がオランダ・アムステルダム港で推進する「液化水素回廊構想」の具体化を目的とする。川崎重工の液化水素運搬船技術およびターミナル技術を活用し、オマーン、サウジアラビア、スペイン、ブラジルなど複数の供給国から、地政学的リスクを回避した多様な海上輸送ルートを構築。欧州各国(オランダ・ドイツを中心に)への安全かつ安定的な液化水素供給を実現する。
■中流領域の強化が鍵
液化水素の普及において最大の課題とされる海上輸送・受入ターミナル・船陸整合の領域で、両社の強みを融合させる。
- 川崎重工:これまで培ってきた液化水素運搬船の設計・製造・運用知見を提供。世界をリードする極低温技術を活かし、信頼性の高い輸送・貯蔵ソリューションを供給。
- EcoLog社:LNG運搬船で蓄積した極低温貨物輸送の運用ノウハウを基に、将来的に液化水素運搬船および受入ターミナルのオーナー兼オペレーターとして供給・需要を結ぶ。
両社は本提携を通じて、欧州向け液化水素サプライチェーンの早期実現を目指す。
■AI需要拡大も視野 幅広い産業分野で活用促進
同プロジェクトは、欧州のエネルギー安全保障強化に寄与するとともに、以下の分野での液化水素需要拡大を後押しするものと期待されている。
- トラック輸送などモビリティ分野
- AI急拡大に伴うデータセンター・デジタルインフラ
- その他幅広い産業用途
EcoLog Ltd.のエレン・ルホタスCEOは次のようにコメントした。
「液化水素はエネルギー源であると同時に優れた輸送媒体としての特性を持つ。川崎重工との連携により、製造からオフテイクまでを結ぶコスト競争力のある強固なバリューチェーンを構築できることを大変嬉しく思う。」
川崎重工業の松田義基常務執行役員は、「国際情勢の変化でエネルギー安全保障の重要性が高まる中、水素は有効な選択肢の一つ。EcoLog社との提携で中流領域のソリューションを加速し、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献したい」と述べた。
調印式にはオランダ要人も出席
調印式には、オランダ国王ウィレム=アレクサンダー国王、オランダ経済気候政策省大臣、ロッテルダム市長、南ホラント州代表、経済産業省の木原晋資源エネルギー政策統括調整官らも出席し、欧州における水素サプライチェーン構築への強い期待を示した。
この提携は、LNGで実績を積んだEcoLog社の運用力と、液化水素分野で世界トップクラスの技術力を有する川崎重工の知見が融合した、欧州水素市場における注目すべき動きと言える。今後、具体的なプロジェクト化に向けた詳細設計やフィジビリティスタディが加速するとみられる。
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