東レは6月5日、インド現地法人のトーレ・インダストリーズ・インディア(Toray Industries (India) Private Limited、TID)において、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂「トレリナ®」のコンパウンド生産設備を新設すると発表した。アンドラ・プラデシュ州スリシティーの事業拠点に年産約3,000トンの設備を導入し、2027年初頭の稼働開始を目指す。インドにおける同社初の自社生産によるPPSコンパウンド拠点となる。
新設備は2027年4月から顧客向けサンプル供給を順次開始し、早期の本格量産体制の確立を進める計画。自動車の電装部品やエンジン部品向けを中心に需要拡大が見込まれる高機能エンジニアリングプラスチックの供給体制を強化する。
PPS樹脂は耐熱性、耐薬品性、機械強度、難燃性に優れる高機能樹脂で、電動化が進む自動車分野をはじめ、各種産業機器や電気・電子部品向けで採用が拡大している。
東レはインドで既にナイロン樹脂およびPBT樹脂コンパウンドを展開しており、今回新たにPPS樹脂の自社一貫生産体制を構築することで、品質設計や製造プロセスの最適化、安定品質の確保、製品立ち上げや継続的改善のスピード向上を図る。現地での技術サービスや品質管理体制も強化し、量産需要への対応力を高める。
インド市場では今後も年率7%前後の高い経済成長が見込まれており、自動車や家電など高付加価値製品の需要拡大が続いている。加えて、インド政府の「Make in India」政策や生産連動型インセンティブ(PLI)制度を背景に、現地製造業では部材の現地調達化が加速しており、樹脂材料についても輸入材から現地生産材への切り替えニーズが高まっている。
こうした市場環境を踏まえ、東レは2026年7月に西部マハーラーシュトラ州プネに新オフィスを開設する予定。生産拠点に加え、販売・技術サポート体制も拡充し、インド事業基盤の強化を進める。
同社は長期経営方針「TORAY Challenges 2035」において、「現場力強化とサプライチェーンの強靭化」を重点施策に掲げている。今回のPPS樹脂コンパウンド拠点新設もその一環で、インド樹脂事業拡大の中核プロジェクトとして位置付ける。
■プロジェクト概要
プロジェクト名:インドPPS樹脂「トレリナ®」コンパウンド生産拠点新設
事業主体:トーレ・インダストリーズ・インディア(Toray Industries (India) Private Limited)
所在地:インド・アンドラ・プラデシュ州スリシティー
投資内容:PPS樹脂コンパウンド生産設備の新設
生産能力:約3,000トン/年
製品:PPS樹脂コンパウンド「トレリナ®」
用途:自動車電装部品、エンジン部品など
稼働開始予定:2027年初頭
サンプル供給開始予定:2027年4月以降
狙い:現地生産体制の確立、品質・供給力強化、インド市場での樹脂事業拡大
関連施策:2026年7月にプネへ販売・技術サポート拠点を開設予定