IHI、2040年に向け「For Industry &National Security」掲げ飛躍へ

・民間エンジン・防衛・原子力で成長加速、売上CAGR5%超・営業利益率15%超目指す

IHIは5月8日、2025年度(2026年3月期)決算説明で中長期の経営方針を発表した。同社は「2040年に向けて、世界中の人々の安心・安全、豊かな暮らしを根幹から支える『For Industry & National Security』を実現する」とのビジョンを掲げ、持続的な高成長ステージへの移行を宣言した。

IHIはコロナショック後の事業構造改革を完了し、2026年度から本格的な成長フェーズに入る。3つの事業ドメイン(エアロスペース、エネルギー、インフラ)を軸に、価値創造プロセスを高速回転させ、バリューチェーン構築とライフサイクルビジネスの拡大を強力に推進する方針。

■主要経営指標に高い目標

FY2025実績(売上収益1.64兆円、営業利益率10.1%)を起点に、FY2025〜2035年の売上収益CAGRを5%超とする。フェーズ3(2032年度以降)では営業利益率15%超、3か年累計営業キャッシュフロー1兆円超、ROIC13%超を目標に掲げた。
同社は今後3年間(フェーズ1:26〜28年度)を先行投資期間と位置づけ、生産能力増強やサプライチェーン強化に重点的に資金を投じる。投資拡大を進めつつ、収益性とキャッシュ創出力を着実に高め、29年度以降の本格的な収益拡大につなげる。 

■事業別成長戦略
<エアロスペース>
民間エンジンの着実な拡大に加え、防衛・宇宙インフラで飛躍を目指す。世界旅客需要の伸長(CAGR3.1%)や防衛予算増(GDP比2%目標)、宇宙市場の倍増(4兆円→8兆円)を取り込む。

「推力」に関する圧倒的な技術力とデュアルユース基盤を活かし、生産プロセス革新や新生産拠点構築(海外含む)、エンジン整備能力強化、固体ロケットモータ増産、UUV事業拡大などを進める。GCAP(次期戦闘機)などの国際共同開発もグローバル展開の梃子とする。

<エネルギー>
原子力と燃料アンモニアバリューチェーンの2本柱で、カーボンニュートラルとエネルギー安全保障に貢献。国内原子力発電量の2.6倍増(構成比20%目標)や燃料アンモニア導入拡大(2050年3千万トン目標)に対応する。

圧力容器など重要機器の製造技術や世界唯一のアンモニア燃焼技術を強みとし、再処理施設対応や次世代革新炉向け機器のグローバル供給、グリーンアンモニア供給体制の構築を加速させる。

<インフラ>
老朽化対策を中心とした保全・維持管理需要に加え、次世代インフラ構築へシフト。鋼橋・PC橋のハイブリッド技術や高難度耐震技術を武器に、保全工事の拡大と新バリューチェーン構築を進める。

大都市圏の空間効率化や自動物流ネットワーク対応、世界最長級の橋梁プロジェクトでの実績蓄積により、国内外での都市・社会インフラ企業としての地位確立を目指す。

■戦略投資と基盤強化

成長投資の重点は、民間エンジン・原子炉の生産能力増強、鍛造・鋳造などサプライチェーン強靭化、エンジニア確保・技術継承、DX投資、国際アライアンス強化など。

ライフサイクルビジネスを全ドメインで拡大し、ストック価値の最大化と安定的収益基盤の構築を図る。

同社では「不安定さが常態化する時代に、IHIは技術と人財を原動力に、社会課題解決を通じて持続的な成長を実現する」と強調。IHIはグループ経営方針2023で進めてきたポートフォリオ改革をさらに深化させ、2040年に向けた「大きな飛躍」の基盤固めに本格的に乗り出す。

ニュースリリース