日立建機ヨーロッパ(Hitachi Construction Machinery Europe:HCME):2026年5月6日
日立建機ヨーロッパ(HCME)は5月6日、イタリアで開催された建設機械展示会「サモター(SaMoTer)2026」において、コンセプトミニショベル「ランドクロス・ミニ(LANDCROS Mini)」が「SaMoTer Innovation Awards」のデザイン賞と、油圧ショベル部門の技術特別賞を受賞したと発表した。人間中心設計を軸にした次世代コンパクト建機の方向性を示すモデルとして注目を集めている。
ランドクロス・ミニは、5tクラスのコンセプト機。従来の小型油圧ショベルでは、限られたスペースに操作系を配置する発想が一般的だったが、同機では「オペレーターを中心にキャブを設計する」という逆転の発想を採用した。
キャブ構造の死角スペースを有効活用することで、コンパクト機ながら広い居住空間を実現。オペレーターの動作や視線、疲労軽減などを重視した設計思想を全面に打ち出した。
安全性の面では、360度視界を確保したほか、外部センサーと連動するLED照明システムを採用。作業員が機械へ接近すると、キャブ内照明が赤色に変化してオペレーターへ警告を発する。また、外部LEDライトにより周囲へ稼働中であることを知らせる機能も備えた。
前面ガラス左側の視界を改善するため、ワイパーモーターを右側へ移設。狭所作業時の視認性向上にも配慮した。
キャブ内には、スピーカーとマイクを備えた通信装置を搭載。密閉キャブ内でも地上作業員との連携を取りやすくした。また、サブディスプレイはスライド式とし、ロトティルト(Rototilt)など外部機器メーカーのシステム追加にも対応。追加モニターによるスペース圧迫を抑えている。
操作性面では、乗降しやすい大型ステップと延長ハンドル、足元スペースを確保する脱着式走行レバー、人間工学に基づくジョイスティックボタンなどを採用。長時間作業時の疲労軽減を図った。
収納面でも、シート背面の「バックパック(Backpack)」、側面収納「サドル(Saddle)」、シート内蔵収納「ネスト(Nest)」など独自の収納機構を導入。スマートフォン充電機能も備えている。
開発面では、自動車業界で一般化しているバーチャル設計や拡張現実(AR)技術を建設機械分野へ本格導入。物理試作前にデジタル空間上で検証・改良を実施した。同社はこの手法を「フィジタル(Phygital)」と呼び、デジタル設計情報を実機へシームレスに反映する新たな開発手法として位置付けている。
展示会場では、来場者が実際にキャブへ乗り込み、各機能を体験・評価できるようにした。ユーザーからのフィードバックを次世代コンパクト機開発へ反映する考え。
日立建機ヨーロッパ(Hitachi Construction Machinery Europe:HCME)のノリヒコ・キヌガワ(Norihiko Kinugawa)氏プロダクトマネージャーは、「このコンセプトモデルはZX55U-6をベースとしているが、実際に試しているのは新しい設計思想そのものだ。オペレーターに、将来の現場を形作る機械へ直接影響を与える機会を提供している」とコメントした。
また、フランチェスコ・クアランタ(Francesco Quaranta)社長兼CEOは、「ランドクロスは『顧客第一であり、技術はそのために存在する』というシンプルな原則に基づいている。ランドクロス・ミニは、その考え方を本気で追求した結果だ」と述べた。
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