・「MMLogiStation」とNVIDIA Omniverseで物流・搬送デジタルツインを構築
YE DIGITAL(北九州市小倉北区)は7月16日、エヌビディア(NVIDIA)とフィジカルAI分野で協業を開始したと発表した。倉庫自動化システム(WES)「MMLogiStation」と、NVIDIAの3Dシミュレーション基盤「NVIDIA Omniverse libraries」を連携し、物流センターや工場内搬送工程のデジタルツイン化を推進する。
今回の協業では、現実世界の設備や搬送工程をサイバー空間上に再現し、AIによる分析・最適化・自律化を実現するフィジカルAI技術の社会実装を目指す。マテリアルハンドリング設備やロボット、AGV(無人搬送車)、AMR(自律走行搬送ロボット)などが連携して動作する現場全体を高精度にデジタル化し、設備配置や制御の最適化、導入前シミュレーション、実運用データを活用した継続的な改善につなげる。
YEデジタルの「MMLogiStation」は、デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査においてWES(Warehouse Execution System)市場で3年連続シェアNo.1を獲得している物流自動化システム。自動倉庫、AGV・AMR、コンベヤ、ロボットなど多様な自動化設備との接続実績を持ち、物流・製造現場で蓄積した実行データを保有している。
今回の連携では、個別設備単位ではなく、複数設備が連動する空間全体をNVIDIA Omniverse librariesと統合することで、現実の動きを反映したデジタルツイン環境を構築する。これにより、仮想空間上でのシミュレーションや検証、AIによる制御最適化の高度化を図る。
YEデジタルは、本協業による主な効果として、①大規模仮想環境構築期間の短縮、②OpenUSD(Universal Scene Description)を基盤とした仮想空間の標準化、③マテハンメーカー、ロボットメーカー、システムインテグレーターなどとのオープンプラットフォーム化、④AIによる物流・搬送システムの高度化、⑤現実空間で培った制御技術の仮想空間への展開――を挙げている。
従来、大規模なデジタルツイン環境の構築には数年単位の期間を要するケースもあったが、NVIDIA Omniverse librariesの活用により、数カ月単位での構築を目指す。さらに、OpenUSD対応により、異なるメーカーの設備やシステムを連携しやすい環境を整備する。
両社は2025年11月から連携協議を進めており、今回の協業はその取り組みの第一歩となる。YEデジタルが持つWESによる現場実行データと、NVIDIA Omniverseの3Dシミュレーション技術およびAI技術を組み合わせ、工場全体の物流フローを最適化するデジタルツイン基盤の構築を進める。
すでに国内工場における搬送工程を対象としたデジタルツイン実証を開始しており、フィジカルAIによる搬送工程最適化の有効性を検証している。
両社は今後、「MMLogiStation」とNVIDIA Omniverseを中核に、物流・製造現場におけるフィジカルAIの普及を推進し、生産性向上と持続可能な産業基盤の構築に貢献していく。