東京エレクトロン(TEL)は7月16日、エージェント型AIおよびロボティクス分野におけるNVIDIA(エヌビディア)との協業を拡大すると発表した。同社のデジタルトランスフォーメーション(DX)ソリューションコンセプト「Epsira™」に、NVIDIAのAIエージェント開発基盤やロボット開発プラットフォームを活用し、半導体製造装置の保守高度化や製造現場の自律化を目指す。
今回の協業では、NVIDIA Agent Toolkit(NVIDIA NeMo、NVIDIA NIM、NVIDIA NemoClawの各ブループリントを含む)および、オープンなロボット開発プラットフォーム「NVIDIA Isaac」を活用する。
NVIDIA Isaacプラットフォームにより、シミュレーション環境「NVIDIA Omniverseライブラリ」と統合したデジタルツイン上にロボット設計を投入することが可能となる。これにより、ロボットの訓練や性能向上に必要な時間を大幅に短縮できるほか、複雑化する半導体製造現場におけるロボット保守作業の効率化を図る。
また、AIエージェント分野では、NVIDIA NeMoがエージェントの訓練、調整、評価を支援し、NemoClawによってエージェント運用の容易化とセキュリティ強化を実現する。
■「Epsira™」で半導体製造装置の生産性向上へ
TELが展開する「Epsira™」は、フィールド生産性向上、歩留まり改善、装置稼働率向上を目的としたDXソリューションコンセプトである。
AIを活用したMTBWC(Mean Time Between Wet Cleaning:ウェットクリーニング間隔)延長分析、ロボットによる高精度メンテナンス、トラブルシューティング分析などの技術を提供し、従来必要だった定期メンテナンスの削減を目指している。
同社では、DXインフラを活用することで、顧客が保有する製造データを生産性向上につなげ、熟練技能への依存を低減した「スキルフリー」な装置運用を実現するとしている。さらに、製造ばらつきの最小化、装置安定性の向上を通じ、将来的な装置自律化への展開を進める。
東京エレクトロン コーポレート製品開発本部の松島圭一執行役員は、「AI時代の世界的リーダーであるNVIDIA社とのコラボレーションが一段と深まったことを喜ばしく思う。これによりEpsira™プログラムの活用範囲はさらに広がる。ロボット保守とAIトラブルシューティング分析によって顧客の製造能力を強化し、生産性向上に貢献する」とコメントしている。
一方、NVIDIA ロボティクスおよびエッジAIエコシステム担当シニアディレクターのAmit Goel氏は、「半導体製造は新たな自動化の時代を迎えている。ファブ(半導体工場)では生産環境があらゆる面で複雑化しており、ロボット活用によって稼働率、精度、強じん性の向上が期待される。TELはNVIDIAのエージェント型AIおよびフィジカルAIのモデル、フレームワークを活用し、ロボット保守、AIトラブルシューティング、ファブ運用のさらなる高度化を推進する」と述べている。
半導体需要の拡大や製造工程の複雑化を背景に、半導体工場ではAI、ロボット、デジタルツインを組み合わせた次世代型スマートファブへの移行が加速している。TELは今回のNVIDIAとの協業強化を通じ、半導体製造装置の高度化と自律型生産システムの実現を目指す。