・ロボットとAIによる自律化・人協働社会の実現へ
ファナックは7月16日、富士通とフィジカルAI分野における事業検討を開始すると発表した。産業分野におけるフィジカルAIの社会実装を加速し、人とロボットが共存・協働する次世代の生産環境の実現、ならびに製造業の競争力強化を目指す。両社は協業先である米NVIDIAの技術も活用しながら、フィジカルAIの適用領域拡大を進める。
近年、製造業では少子高齢化による労働力不足や熟練技能者の減少、グローバル競争の激化などが課題となっている。こうした課題への対応策として、現実世界の情報をAIが認識・分析し、その結果をロボットや設備の物理的な動作につなげる「フィジカルAI」への期待が高まっている。
フィジカルAIは、ロボットや生産設備が周囲の状況を把握し、自律的に最適な動作を判断・実行することで、生産工程の自動化、生産性向上、品質安定化、新たな自動化領域の開拓を可能にする技術である。
ファナックは、2025年12月に開催された国際ロボット展での発表を契機に、オープンプラットフォームを活用したフィジカルAIシステムの展開を進めている。音声認識によるロボット制御や、AIエージェントを活用した部品キッティングなど、具体的な応用を開始している。
今回の富士通との連携では、ファナックが持つ高度なロボット制御技術と、富士通が有するAIインフラ基盤、現場データ活用技術を組み合わせることで、フィジカルAIによる自動化のさらなる高度化を図る。
具体的には、工場内で稼働するロボット、設備、人、業務アプリケーションをシームレスにつなぎ、生産計画から製造実行、品質管理、保守運用まで、生産活動全体の最適化・自律化を目指す。
富士通の時田隆仁社長CEOは、「世界最高水準のロボット技術を有するファナックと、コンピューティング技術およびソフトウェア開発力を強みとする富士通が協業することで、新たな産業価値を創出できる」とコメント。フィジカル空間で稼働するロボットと、デジタル空間で蓄積・分析されるデータを高度に連携させ、製造現場の生産性向上や変化への対応力強化につなげる考えを示した。
ファナックは今後、富士通との協業に加え、NVIDIAのAI技術も活用しながら、フィジカルAIの社会実装を推進する。人とロボットが安全に協働する次世代製造環境の構築を通じ、産業競争力の向上に貢献していく方針である。