ボルボCE(Volvo Construction Equipment ):2026年7月3日
ボルボCEは、スウェーデン・エスキルストゥーナ(Eskilstuna)の本社で、建設業界の脱炭素化をテーマとしたイベント「Move to Zero(MTZ)2026」を開催した。欧州各国から建設業界の関係者約140人が参加し、ゼロエミッション建設の普及拡大に向けた課題や取り組みについて意見を交わした。
参加者は、建設会社、顧客、エネルギー事業者、自治体、政策立案者、パートナー企業など建設バリューチェーン全体に及び、電動建機の導入拡大や制度設計、調達改革を通じた建設現場の脱炭素化について議論。デンマーク・コペンハーゲンや英国・ロンドンで進むインフラプロジェクトの事例も紹介され、大規模な変革が着実に進展していることが報告された。
ボルボCEのメルカー・イェルンベリ(Melker Jernberg)社長は、「建設業界のあらゆる分野を代表する変革の担い手が一堂に会したことは非常に意義深い」と述べ、「変革を実現するためには協業が不可欠だが、それぞれの組織が自らの責任領域で具体的な行動を起こすことが、業界全体の構造改革につながる」と強調した。
■電動建機の経済性が向上
ボルボCEは2019年にゼロエミッション建設への取り組みを表明し、2024年に初のMTZを開催。今回は「認知拡大」の段階から「実装・普及」の段階へと議論が進んだ。
一方で、地政学リスクや貿易障壁、サプライチェーンの混乱など、脱炭素化を取り巻く環境は複雑化している。しかし同社は、電動建機の経済性が向上していることから、ゼロエミッションへの移行は着実に進むとの見方を示した。
イェルンベリ社長は、「電動建機は燃料・保守費用などの運用コストが低く、総保有コスト(TCO)の面でもディーゼル機を上回るケースが増えている。さらに騒音低減やオペレーター、周辺住民の作業環境改善などのメリットもあり、事業性の高さが明確になってきた」と説明した。
■都市部が普及拡大をけん引
会議では、都市部における公共調達がゼロエミッション建設の普及を後押ししていることも紹介された。公共工事で排出ガスゼロを要件化する自治体が増え、都市部では大気環境の改善や騒音低減、安全性向上といった効果が評価されている。
インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)のプログラムマネージャー、ダニエル・マーシュ(Daniel Marsh)氏は、「小型ディーゼル建機は都市部の大気汚染源となっているにもかかわらず、政策面で十分認識されていない。排気ガスをなくす技術は既に存在しており、今後は政策や施工計画、業界全体の連携を通じて導入を加速することが重要だ」と指摘した。
■欧州各地で導入事例が拡大
ノルウェー・オスロでは市の建設現場で化石燃料を使用しない施工が本格化しており、オランダでもゼロエミッション建設機械の導入ロードマップが整備されているなど、政策と公共調達が市場形成を後押ししている。
さらにドイツ、スウェーデン、英国でもゼロエミッション施工への需要が拡大しており、発注者側が電動建機の採用を求めるケースが増えているという。
コペンハーゲン・メトロ(Copenhagen Metro)のディシプリンリード、ニーネ・マリー・ベック(Nynne Marie Bech)氏は、建設プロジェクトへの電動建機導入経験を紹介し、「ゼロエミッション施工はもはや理論ではなく、実際の現場で十分機能している。オペレーターは実際に電動建機を使うことで評価を大きく変えるケースが多く、普及の重要な推進役になっている」と語った。
また、発注者が明確な導入目標や契約条件を設定することが、施工会社の設備投資を促進する重要な要素になるとの認識を示した。
■英国大型プロジェクトでも電動・水素建機を採用
英国では欧州最大級のインフラ整備事業「ローワー・テムズ・クロッシング(Lower Thames Crossing=LTC)」の取り組みも紹介された。
LTCのエグゼクティブディレクター、マット・パーマー(Matt Palmer)氏は、同プロジェクトが英国で初めてディーゼル建機を全面的に排除し、電動建機や水素建機へ切り替える大型インフラ事業になると説明。複数の建設現場で約140台のゼロエミッション建機を運用し、低炭素インフラ整備の新たなモデル構築を目指していると述べた。
イベントでは、「技術は既に実用段階にあり、今後は各企業が具体的な行動を加速させることと、業界全体での連携強化が普及拡大の鍵になる」との認識で一致し、ゼロエミッション建設のさらなる展開に期待を示した。
■ ボルボCE(Volvo Construction Equipment)について
ボルボCEは、スウェーデンのボルボ・グループ(Volvo Group)の建設機械事業会社。油圧ショベル、ホイールローダー、アーティキュレートダンプトラックなどを世界市場に展開するとともに、電動建設機械や自動化、デジタルソリューションの開発を通じて建設業界の脱炭素化を推進している。
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