神戸製鋼所、米U.S. Steel向け大型DRIプラント受注、MIDREX Flex®で脱炭素一貫体制を支援

神戸製鋼所は6月16日、100%米国子会社のミドレックス社を通じて、United States Steel Corporation(U.S. Steel社)がアーカンソー州オセオラのBig River Steelに建設する直接還元鉄(DRI)プラントに「MIDREX Flex®」プロセスを採用する契約を締結したと発表した。米国内鉄鋼業界における脱炭素化に向けた重要なプロジェクトとして注目される。

今回の採用では、安定操業実績、高い生産性、エネルギー効率の優位性に加え、U.S. Steel社のサステナビリティ目標への対応力が大きく評価された。MIDREX Flexは、天然ガスを主原料とする従来プロセスを基盤に、水素への柔軟な切り替えを可能とした次世代技術で、段階的なCO₂排出削減を実現できる点が特徴。

本プロジェクトは、米国内で生産されるDRグレードペレットを活用し、直接還元鉄製造から電気炉(EAF)製鉄までの一貫供給体制を構築するもので、米鉄鋼業界のグリーン・トランスフォーメーション(GX)を象徴する取り組みとなる。ミドレックス社はDRIプラント一式を供給する。

■生産能力250万トン/年、2029年稼働へ

プラントの年間生産能力は250万トンで、2029年の稼働開始を予定。製品は高品質な熱間直接還元鉄(HDRI)と熱間成型還元鉄(HBI)の2種類となる。HDRIは隣接する電気炉へ直接供給し、HBIは外販および世界各地の製鉄所への輸出も計画されている。
MIDREXプロセスは世界の天然ガスベース直接還元鉄生産量の約80%を占めるリーディング技術で、世界で90基以上の稼働実績を持つ。神戸製鋼所とミドレックス社は、従来の天然ガス改質ガス(CO+H₂)還元プロセスに加え、今回のMIDREX Flex、さらに100%水素を還元剤とする「MIDREX H₂™」の3世代技術を保有しており、鉄鋼業界のカーボンニュートラル移行を技術面で強力に後押ししている。

神戸製鋼所は今中期経営計画(2024~2026年度)で「魅力ある企業への変革」を掲げ、「KOBELCO-X」を推進中。今回の受注は、同社が掲げるGX(グリーン・トランスフォーメーション)の具体的事例の一つに位置づけられる。

同社関係者は「ミドレックス技術を通じて、米国の鉄鋼サプライチェーン全体の脱炭素化に貢献できることを誇りに思う。持続可能な社会の実現に向け、今後も技術の進化を加速させていく」とコメントしている。

(写真:Big River Steel敷地内に建設されるMIDREX Flexプラントのモデル図)

■計画概要

  • 発注者:United States Steel Corporation(Big River Steel)
  • 場所:米国アーカンソー州オセオラ
  • プロセス:MIDREX Flex®直接還元鉄プロセス
  • 生産能力:250万トン/年(HDRIおよびHBI)
  • 稼働開始:2029年予定
  • 主な特徴:米国内DRグレードペレット使用、HDRIの隣接EAF直接供給、HBIの外販・輸出、天然ガスから水素への柔軟移行による段階的CO₂削減
  • 意義:米国鉄鋼業界におけるDRI~EAF一貫脱炭素体制の構築に向けたマイルストーン

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