DMG森精機、5軸制御横形MC「INH 63 FD」を追加、ミーリング・旋削を1台に集約

・SIEMENS製制御装置にも対応

DMG森精機は8月27日、5軸制御横形マシニングセンタ(MC)「INHシリーズ」のラインアップを拡充し、旋削機能を備えた「INH 63 FD」を追加すると発表した。併せて、従来のFANUC製に加え、SIEMENS製制御装置にも対応する。複雑形状・高精度部品の加工に加え、多品種少量生産や長時間の連続・無人稼働への対応力を高め、工程集約と自動化を一段と推進する。

INHシリーズは、2023年に販売を開始した5軸制御横形MCで、「INH 63」「INH 80」を展開している。航空機、宇宙、半導体、産業機器、金型、自動車などを主な市場とする。

機械構造では、全軸ツインボールねじとスラントコラム構造を組み合わせ、高速加工時の振動抑制と高い機械剛性を両立。3点支持構造によって地盤の形状や経年変化の影響も抑制する。全軸にマグネスケール製高精度エンコーダ「SmartSCALE」を標準搭載し、フルクローズドループ制御を採用する。ボールねじを含む熱源を冷却することで、長時間運転時にも高い位置決め精度と加工精度を維持する。

主軸には400V仕様の高剛性主軸「powerMASTER」を搭載。標準仕様で最大トルク808N・m、主軸出力85/40kWを確保し、重切削から高速加工まで幅広く対応する。主軸は3年間保証する。主軸側に旋回軸を持たないスリムな構造とすることで、長尺工具による深部加工やラインボーリング加工にも対応する。

新たに加わるINH 63 FDでは、ミーリングと旋削を1台に集約する。最高回転速度900min-1、最大トルク3,000N・mのミルターンテーブルを搭載し、ワンチャッキングによる高精度加工を可能にした。従来、別工程としていた旋削工程を集約することで、大型ワークの載せ替えや心出しなどの段取り作業を削減し、加工精度向上とリードタイム短縮につなげる。旋削工具ホルダはHSK-T 100に対応する。

また、テーブル内部に振動センサを搭載し、高速回転時に発生するワークのアンバランスを加工開始前に検知する。安全性を高めるとともに、ワーク位置の確認を支援する。高精度な段取りステーションも標準搭載し、パレット交換後に必要となる機内での心出し作業を短縮する。オプションの「easycenterSET」ではワーク中心を自動補正でき、段取り作業の効率化・自動化を図る。

制御装置については、従来のFANUC製に加えてSIEMENS製にも対応。デジタルツインを実現する「SINUMERIK ONE」を採用し、加工プログラムの事前検証や生産準備の効率化を支援する。既存設備と制御装置の操作性を統一しやすくすることで、オペレーター教育や保守管理の効率化にもつなげる。欧州をはじめ、各地域で求められるNCプラットフォームへの対応を強化する。

自動化にも幅広く対応する。パレット搬送システムに加え、ロボットシステム「MATRIS」によるワーク搬送、最大4,000本の工具を収納できるツール搬送システム「CTS(セントラルツールストレージ)」、自律走行ロボット(AMR)によるチップバケット搬送などを組み合わせることができる。

さらに、既存の横形MC「NHXシリーズ」「NH DCGシリーズ」とパレットを兼用できるため、既存設備とINHシリーズを組み合わせたフレキシブルな自動化システムの構築も可能とする。旋削については専用の円型パレットが必要となる。

長時間の連続・無人運転に向けては、切りくず、クーラント、ミストを「加工3悪」と位置付け、その対策を強化している。A軸によってテーブルを傾斜できる構造とし、ワークやテーブル上に堆積した切りくず・クーラントを機内下へ落下させやすくした。

クーラント管理では、立型大容量クーラントタンク「zero-sludgeCOOLANT pro」を採用。スラッジと混入油を効率的に回収するほか、大流量の洗浄クーラントとモータ駆動ノズルを組み合わせ、切りくずの堆積を防止する。オプションの「AIチップリムーバル」では、AIが機内の切りくず堆積状況を認識し、効率的な除去を支援する。「Adaptive Coolant Flow」は加工内容に応じてクーラントの流量・圧力を自動最適化する。ミスト対策としては、ビルトイン型ミストコレクタ「zeroFOG」を用意する。

5軸加工のデジタル化にも対応する。CAMと工作機械をつなぐPCソフトウェア「CELOS DYNAMICpost」では、ポストプロセッサ、切削加工シミュレーション、切削力最適化の機能を統合。加工プログラム作成からシミュレーション、段取りまでの効率化を支援する。また、ヒューマンマシンインタフェース「ERGOline X with CELOS X」を搭載し、テクノロジーサイクルなどのアプリケーションを通じて複雑加工の操作性を高める。

今回のラインアップ拡充により、INHシリーズはミーリングと旋削の工程集約、5軸加工、自動化、デジタル化を組み合わせた「MX(マシニング・トランスフォーメーション)」への対応を強化する。

なお、INH 63 FDは10月26~31日に東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2026」で実機を展示する。INH 63 FDのミルターンテーブル仕様は、SIEMENS製制御装置搭載製品が対象となる。INH 80のミルターンテーブル仕様については今後対応する予定。

■製品概要
品名:5軸制御横形マシニングセンタ「INH 63/INH 80」
追加仕様:旋削対応「INH 63 FD」
主な販売市場:航空機、宇宙、半導体、産業機器、金型、自動車など
制御装置:FANUC製、SIEMENS製「SINUMERIK ONE」
INH 63 FDミルターンテーブル:最高回転速度900min-1、最大トルク3,000N・m
標準主軸:powerMASTER、最大トルク808N・m、主軸出力85/40kW

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