・3.65~5.75MW級、50%水素混焼を確認 新設・既設設備の低炭素化に対応
三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)は8月27日、発電出力3.65~5.75MWの「KUガスエンジン」について、水素混焼仕様を確立したと発表した。コージェネレーションシステムなどで幅広く採用されている同エンジンを対象に、水素混焼対応機として提案を開始する。都市ガス専焼機として新設した後、将来的に水素混焼へ移行する段階的な導入に加え、既設エンジンを最小限の改造で水素混焼化するレトロフィットにも対応する。
MHIETは、5.75MW発電用ガスエンジンの単筒試験機を用いて水素混焼試験を実施し、定格相当出力において水素混焼率50%(体積比)まで安定燃焼できることを確認した。
水素燃料を利用するガスエンジンでは、幅広い負荷域における安定燃焼に加え、ノッキングやプレイグニッションなどの異常燃焼を抑制することが課題となる。MHIETは、CFD(コンピューター流体解析)や燃焼反応モデルを活用して異常燃焼の発生メカニズムを解析し、運用負荷域全体で異常燃焼を抑制する技術を構築。これにより、KUガスエンジンの水素混焼仕様を確立した。
また、エンジン単体だけでなく、コージェネレーションシステムとしての利用を前提に、統合制御システムを含むプラント設備についても水素混焼に対応できる仕様とした。
今回の仕様では、設備の稼働中でも運転モードを切り替えることで、都市ガス専焼から任意の水素混焼率へ変更できる。水素燃料の調達状況に応じて運用を柔軟に変更できる点が特徴である。
さらに、現行の都市ガス専焼仕様からの設計変更を最小限に抑え、都市ガス専焼時には従来仕様と同等の性能を確保する。新設時には従来型の都市ガス専焼機として導入し、水素インフラの整備状況や燃料調達環境に合わせて追加設備を導入し、水素混焼仕様へ移行することが可能となる。
既設設備への対応も進める。KUガスエンジンについては、エンジン全体を更新することなく、最小限の改造によって水素混焼化するレトロフィットに対応。既に都市ガス専焼機として稼働している設備の価値向上と長期的な有効活用につなげる。
加えて、KUディーゼルエンジン「KU30A」についても、ガスエンジン化と併せて水素混焼仕様へ改造することが可能で、既設ディーゼル発電設備の有効活用にも対応する。
ガスエンジンは、高い発電効率と優れた負荷追従性を備え、工場や各種施設の自家発電設備、地域熱供給などに利用されている。近年は、再生可能エネルギーの出力変動を補完する調整電源や、電力託送における発電リソースとしての活用も進んでいる。世界的な電力需要の増加を背景に、分散型電源としてのガスエンジンの重要性は一段と高まっている。
MHIETは、ガスエンジン発電装置について、水素混焼に加え、水素専焼やe-メタンなどへの対応を進め、エナジートランジションに向けた低・脱炭素電源としての製品展開を強化する。
同社は既に、発電出力450kWの都市ガス専焼ガスエンジン「GS6R2」の水素混焼仕様を製品化している。今回、3.65~5.75MW級のKUガスエンジンを加えることで、水素混焼対応ガスエンジンのラインアップを拡充し、分散型電源の低炭素化と設備価値の向上を図る。
■計画・製品概要
・製品:発電用KUガスエンジン(水素混焼仕様)
・発電出力:3.65~5.75MW
・水素混焼率:最大50%(体積比、定格相当出力での試験確認値)
・燃料:都市ガス、水素混焼
・対応:新設設備、既設エンジンのレトロフィット
・主な用途:コージェネレーションシステム、分散型発電設備など
・特徴:都市ガス専焼から任意の水素混焼率への運転モード切り替え、段階的な水素利用拡大、既設設備の最小限改造による水素混焼化
・発表日:2026年8月27日
・発表会社:三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)
コメントを投稿するにはログインしてください。