DMG森精機は7月6日、経済産業省および国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/データエコシステムの構築等に関する研究開発(GENIAC事業)」において、同社を含む共同提案が採択されたと発表した。
同事業では、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)が推進する、製造データとAIを活用した「製造AX(AIトランスフォーメーション)」の取り組みとも連携し、製造現場に分散する設備データや品質データを統合するとともに、AI開発と製造現場へのフィードバックを循環させる基盤構築を目指す。
DMG森精機は、産総研、グループ会社のWALC、DMG MORI Digitalと連携し、高精度・高信頼加工を支える生産設備データエコシステムの構築、および製造フィジカルAIに活用する基盤モデルの研究開発を進める。
近年、航空・宇宙、医療、半導体などの高付加価値分野では、より高度な加工精度と信頼性が求められている。一方、製造現場で蓄積される設備情報や品質データは企業単位で分断されており、企業横断でAI開発に活用できる環境整備が課題となっている。
今回の取り組みでは、DMG森精機の製造業向けデジタルプラットフォーム「CELOS Xchange」を基盤に、協力企業約100社、約1000台の生産設備から設備状態、加工工程、品質情報、周辺設備データなどを高頻度で収集する。これにより、約100TB規模の実運用データを整備し、匿名化・構造化・権利処理を行った上で、AI開発などへの活用を進める。
さらに、設備異常検知に加え、品質予測や加工条件最適化など多目的に利用可能なAI開発基盤を構築。市場投入後の工作機械から継続的にデータを収集し、学習・分析結果を製造現場へ還元する「生産設備データエコシステム」の実現を目指す。
社会実装については段階的に進める計画で、まず設備・加工異常検知AIやAIチャットボットの開発・導入により現場での効果創出を図る。その後、品質予測や消費電力予測などへの基盤モデルの展開を進めるほか、AMR(自律走行搬送ロボット)や計測機器を含む生産セル全体へのフィジカルAI適用を検証し、製造工程全体の最適化につなげる。
DMG森精機は、工作機械および製造プラットフォームを提供する企業として、実運用データの収集からAI活用、製造現場への実装までを一体的に推進する。今回の事業を通じ、AIによる生産性・品質向上、高精度加工を基盤とした高付加価値製造への転換を進め、日本の製造業の競争力強化に貢献していく方針である。