神戸大学と川崎重工業は7月13日、経済産業省が推進する「契約学科制度」を見据え、神戸大学大学院に新たな学位プログラム「未来モビリティ共創プログラム」を創設する。両者の産学連携により、先端AI・ロボティクス技術を活用した「未来モビリティ共創開発拠点」を形成し、研究開発から社会実装、高度人材育成までを一体的に推進する。
同プログラムは、内閣府の第7期科学技術・イノベーション基本計画の取り組みの一環として経済産業省が進める「契約学科制度」を視野に入れたもので、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ディープテック・スタートアップ支援基金/科学とビジネスの近接化時代の大規模産学連携拠点形成事業」に採択された。
同事業は、大学の先端研究と産業界の実装力を融合し、社会課題の解決と新産業創出を同時に実現する大規模産学連携拠点の形成を目的としている。国家戦略上重要な技術領域の強化や産業競争力向上につながる取り組みとして期待されている。
研究開発では、四足歩行ロボットを中核プラットフォームとし、実世界の現場で認識・判断・行動する「フィジカルAI」技術を活用した未来モビリティの社会実装を目指す。災害対応やインフラ維持管理などの過酷環境における重量物搬送や作業支援技術の確立に向け、研究開発を進める。
また、人とモビリティが協調する新たな運用モデルの構築にも取り組み、将来的な社会導入を見据えた技術体系の形成を図る。
教育面では、産学連携によるPBL(Project Based Learning)を中核とした実践型教育を展開する。学生は、社会課題解決に向けたプロジェクトに取り組みながら、技術の社会実装力、プロジェクト推進力、知財活用や事業化を含む価値創出力を習得する。
■ 労働力不足や国土強靭化に対応
第7期科学技術・イノベーション基本計画では、先端AIやロボティクスを経済成長と社会課題解決を支える戦略的技術領域と位置付けている。研究開発から社会実装、事業化までを一体的に推進できるイノベーション人材の育成と、産学連携体制の構築が重要課題となっている。
今回のプログラムでは、製造業、インフラ、災害対応、港湾・物流など、労働力不足への対応や国土強靭化の観点から社会実装ニーズが高い分野を対象とする。
川崎重工が保有する開発現場や実証フィールドを活用し、同社の技術者や関係ステークホルダー、大学研究者が連携することで、研究・開発・事業化を横断的に推進できる高度専門人材の育成を目指す。
さらに、ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)など海外研究機関との連携やインターンシップを通じ、国際的な実践力を備えた人材育成も進める。
■ 2028年4月に開設、博士前後期で年間24人規模
「未来モビリティ開発コース」は、神戸大学大学院横断教育プログラムとして2028年4月に開設する予定。博士前期課程の定員は年間20人、博士後期課程は年間4人とし、2030年度以降は後期課程を年間8人へ拡大する計画である。
主な特徴は、産学連携PBLの実践、最前線の開発現場を担うプロフェッショナルによる指導、国内外の企業・研究機関でのインターンシップ、ディープテックの社会実装教育などとなる。
修了後は、産業界や研究機関、起業などを通じ、先端AI・ロボティクス技術を活用した陸海空の自律型モビリティの開発・実装に携わる人材の輩出を想定している。
■ 2035年までに100人規模の高度人材輩出へ
神戸大学は、工学系を中心にロボティクスや情報科学などの先端研究を推進するとともに、医学、農学、人文・社会科学を含む学際的な教育研究を展開している。
一方、川崎重工は「グループビジョン2030」の実現に向け、社会課題解決につながる新たなソリューション創出を目的に、アカデミアとの連携強化や研究開発活動を推進している。
両者は今回のプログラムを中核に、フィジカルAIを中心とした先端AI・ロボティクス分野の産学連携を強化し、日本の科学技術力とイノベーション力の向上に貢献する。
今後は、2035年までに100人規模の高度イノベーション人材を育成するとともに、社会実装可能なモビリティの創出を通じて社会課題解決と産業競争力強化を両立し、「契約学科制度」の先行事例となるモデル形成を目指す。
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