川崎重工業は7月2日、同日開催の取締役会で、海外募集による新株式発行と、2種類のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行を決議したと発表した。新株式発行による調達額は約927億円、CB発行による調達額は約1,010億円で、総額約1,937億円を2031年3月末までに設備投資や成長投資に充当する。
■航空機・ガスタービン・ロボット・造船の増産投資に充当
新株式発行分の資金使途は、旅客需要の回復が続く民間航空機・エンジン事業(岐阜・名古屋・西神・明石の各拠点)、データセンター需要拡大を背景に伸びるガスタービン事業(明石)、半導体製造装置向けロボット事業(西神戸)、LPG・アンモニア運搬船など次世代エネルギー船を手がける造船事業(坂出)――の4事業の生産基盤強化に振り向ける。フィジカルAIやロボティクスを活用した先進的生産技術の導入も含まれる。
■世界初の「トランジションCB」を発行
CBは2031年満期債(500億円)と2033年満期債(500億円、トランジションCB)の2本立て。いずれもゼロクーポンで発行され、金利コストを抑制する設計とした。転換価額は時価を上回る水準に設定し、既存株主への希薄化配慮を図るとしている。
このうち2033年満期債は、クライメート・トランジション・ボンド・ガイドラインに則った転換社債型新株予約権付社債としては世界初の事例となる。同社が2026年3月に改訂したサステナブルファイナンス・マスターフレームワークに基づくもので、日本格付研究所の第三者評価を取得済み。ストラクチャリング・エージェントはみずほ証券が務めた。
CB資金の使途は、子会社・日本水素エネルギーを通じた液化水素サプライチェーン構築(川崎LH2ターミナル関連の商用化実証事業など)に約705億円、フィジカルAIの研究開発・アライアンス投資等に約305億円を充てる計画。
■発行概要
・新株式:37,350,000株(発行済株式総数は839,609,000株→876,959,000株に増加)
・発行価格等決定日:2026年7月14日~16日のいずれか(ブックビルディング方式)
・払込期日:2026年7月22日~24日のいずれか
・主幹事:野村インターナショナル、みずほインターナショナル
・CB発行日:2026年7月31日、CB上場先:シンガポール証券取引所
・対象:海外市場投資家のみ(国内募集なし、米国は144A適格機関投資家限定)
・ロックアップ:発行後180日間
■背景
同社はグループビジョン2030のもと、2025年度に航空宇宙・エネルギーソリューション&マリン・精密機械ロボット各事業が伸長し、売上収益・事業利益とも過去最高を更新。今後は「防衛・防災」「エネルギー」「半導体」「ヘルスケア」「航空・宇宙」の重点領域に、水素関連技術・フィジカルAI・ロボティクスを横串とした投資を拡大する方針を示している。2026年5月には米シリコンバレーに「Kawasaki Physical AI Center San Jose」を開設済み。