ヤンマー建機、顧客起点で戦略強化、DX・AI活用でグローバル展開を加速

ヤンマーホールディングス(大阪市北区)は6月26日、ヤンマー建機 (福岡県筑後市)の成長戦略に関するリーダーインタビューを公表した。ヤンマー建機で取締役CSO(最高戦略責任者)兼AOLA地域(アジア・オセアニア・ラテンアメリカ)統括責任者を務める前原尚起氏が、変化する建設機械市場への対応と持続的成長に向けた取り組みを説明した。
前原氏は、戦略立案と現場ニーズの接続を自らの役割に位置付ける。市場動向の分析に基づく事業方針の策定と、販売代理店や顧客との対話を通じた実需の把握を両立させ、戦略を継続的に検証・改善する考えを示した。

建機市場は地域ごとに異なる様相を呈する。北米は引き続き成長余地が大きく、日本は技術開発の中核拠点、欧州は安定化が進展、インドは都市化の進行を背景に中長期的な需要拡大が見込まれる。一方で、各地域の価格感度や用途に応じた最適な製品・サービス提供が不可欠としている。

戦略の起点として強調されるのが「顧客価値」である。建設機械は顧客の事業基盤を支える設備であり、投資判断においては稼働率、可用性、総保有コスト(TCO)、アフターサポートなどが重視される。ブラジル市場では、設備投資の慎重化とともに、これら指標への関心の高まりが確認されており、地域特性に応じた戦略最適化の重要性が浮き彫りとなっている。

生産面では、主要拠点への投資を継続する。フランス・サンディジエ工場ではホイールローダーの新ライン導入や物流機能の強化、中型油圧ショベルの増産準備を進める。米国ミネソタ州グランドラピッズ工場では、ロボット溶接やレーザー加工設備の導入、組立ライン拡張、高効率塗装システム整備などにより生産体制を強化する。これにより、品質の安定化と供給力の向上を図る。

また、事業基盤の強化にも重点を置く。生産性向上、在庫計画の最適化、品質管理の高度化を通じ、必要な製品・部品を適時に供給できる体制を構築し、顧客信頼の向上につなげる方針だ。

販売代理店については、単なる販売網ではなく価値共創のパートナーと位置付ける。成熟市場ではサービス品質や技術力の強化、新興市場では価格競争力と柔軟な対応力の確保が求められるとして、各地域での能力向上を推進する。

さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)とAI(人工知能)を活用した知見共有を加速する。各国で蓄積された成功事例やノウハウを組織全体で活用することで、意思決定の迅速化と事業運営の高度化を図る。品質データ管理では、従来の表計算ベースからグローバルで共有可能なダッシュボードへの移行を進めており、今後は生成AIの活用により情報アクセスの効率化を一層推進する。

同社は四半期ごとに経営陣が各地域を訪問し、販売代理店や顧客との直接対話を重視する。貿易政策や関税、金融環境など外部要因の不確実性が高まる中でも、変化を迅速に捉え、組織全体で的確に対応する体制を整える。

ヤンマー建機は2026年、顧客に近い現場起点の戦略と事業基盤の強化を両輪に、次の成長段階に向けた体制構築を進める方針である。

ニュースリリース