日本精工、2025年度日本トライボロジー学会論文賞を受賞

・転がり軸受のはく離寿命予測に新モデルを提案

・非金属介在物を統計評価し、信頼性向上と省資源化に貢献

日本精工(NSK)は6月8日、2025年度日本トライボロジー学会論文賞を受賞したと発表した。同賞は、一般社団法人日本トライボロジー学会が優れた研究論文を表彰するもので、NSKの受賞論文は転がり軸受の寿命予測技術に新たな視点をもたらす内容として高く評価された。

受賞論文の題目は「Spalling Life Prediction for Rolling Bearings Using a Model with Stress Intensity Factor and Statistical Evaluation of Non-Metallic Inclusions」(DOI: https://doi.org/10.2474/trol.19.547)。

5月26日に開催された表彰式では、代表受賞者の小俣弘樹氏をはじめ、NSKの内田啓之氏、橋本翔氏、土信田知樹氏、植田光司氏が佐々木信也学会会長(東京理科大学教授)から表彰を受けた(写真提供:株式会社潤滑通信社)。

■介在物を考慮した画期的な寿命予測法

産業機械用転がり軸受の選定では、要求寿命に適合した製品を正確に予測することが極めて重要だ。これまで潤滑環境に着目した研究が主流だったが、はく離(スパーリング)の主要因の一つである非金属介在物を十分に考慮した寿命予測手法は確立されていなかった。

NSKの受賞研究では、微小人工欠陥を用いたはく離試験により導出した寿命計算式と、同社独自の超音波探傷技術「NSK Micro-UT™」で取得した介在物の統計データを組み合わせた新しい予測モデルを構築した。応力拡大係数を用いた力学モデルと統計的評価を融合させることで、従来よりも精度の高いはく離寿命予測を実現している。

この技術はすでにNSKの産業機械用軸受の設計・選定に活用されており、さまざまな機械の信頼性向上に寄与している。さらに、軸受の本来の耐久性を余すところなく活用できるため、過剰設計の抑制による省資源化にもつながると期待される。

日本トライボロジー学会は1956年に設立され、相対運動する二つの表面間の現象を対象とした科学技術の向上を目指す専門家集団として、国内外で高い評価を得ている。

NSKの技術力と今後の展望
NSKは1916年に日本で初めて軸受の生産を開始して以来、100年以上にわたり軸受分野で世界をリードしてきた。現在、約30カ国に拠点を展開し、軸受の世界シェア第3位を誇るほか、ボールねじや電動パワーステアリングなどの精密機器分野でもトップレベルの技術力を有している。

同社は「安全・快適・環境にやさしい社会の実現と産業の発展に貢献する」ことを使命としており、世界トップクラスのトライボロジー技術を活かした研究開発を今後も積極的に推進していく方針。

ニュースリリース