・余掘り抑制と施工の省人化・効率化を実現し、装薬量削減によるコスト・環境負荷低減も目指す
大成建設は6月5日、山岳トンネル工事における生産プロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、岩盤データとAIを活用し最適な発破パターンを自動設計する新システム「T-iBlast Designer」を開発したと発表した。
同システムは、同社が開発済みの岩盤評価システム「T-iBlast TUNNEL」で算出した岩盤強度データを活用し、岩盤条件に応じた発破パターンを自動で設計するもの。AIによって外周孔の削孔先端位置を最適化し、トンネル掘削時の余掘りを抑制することで、施工品質の向上と効率化を図る。
近年、山岳トンネル工事では国土交通省が推進する「i-Construction 2.0」のもと、自動化や機械化による生産性向上が進んでいる。特にフルオートコンピュータジャンボの普及により削孔作業の自動化は進展しているが、発破パターンの設計については依然として技術者の経験やノウハウへの依存度が高く、岩盤条件に応じた最適化が課題となっていた。
岩盤強度が切羽内で不均一な場合、発破設計が適切でないと余掘りが発生しやすくなり、掘削残土や覆工コンクリート量の増加につながる。このため同社は、フルオートコンピュータジャンボから取得する削孔データを基に岩盤強度分布を可視化する「T-iBlast TUNNEL」を発展させ、新たに発破パターン自動設計機能を搭載した。
■同システムの主な特長は次の通り。
第一に、岩盤強度に応じた発破パターンの自動最適設計を実現する点。切羽内の岩盤強度分布を分析し、天端や中央部、側壁部などの部位ごとに最適な孔数、削孔位置、装薬量を設定した基準発破パターンを自動で割り当てる。これにより施工品質の安定化と技術の平準化を図る。
第二に、AIを活用した外周孔最適化機能を備える点。余掘りへの影響が大きい外周孔について、独自開発のAIが余掘り厚さを予測し、目標値に近づくよう削孔先端位置を最適化する。技術者はシステム上で推定結果を確認しながら発破計画の採否や調整を判断できる。
第三に、現場への導入容易性を重視した点。主要メーカー製フルオートコンピュータジャンボに対応し、既存の施工フローへ組み込みやすい構成としている。また施工データの蓄積によってAIの学習を継続し、予測精度や最適化性能の向上も見込む。
第四に、装薬量削減によるコスト低減と環境負荷軽減効果が期待できる点。国道13号新及位トンネル(仮称、発注者=国土交通省東北地方整備局)で実施した検証では、切羽当たり最大約17%の装薬量削減の可能性を確認した。これにより掘削残土や覆工コンクリート量の削減にもつながるという。
今後、大成建設は同システムの適用現場を拡大するとともに、急速装薬システム「T-クイックショット」や掘削断面計測システム「T-ファストスキャン」などの関連技術と連携させることで、削孔、装薬、発破、掘削断面測定、評価、次サイクルの発破設計までを含む発破サイクル全体の最適化を進める方針。
施工データのさらなる蓄積とAI活用によって発破設計技術の高度化を図り、多様な地盤条件に対応できるシステムへ発展させることで、山岳トンネル工事の安全性・生産性向上と環境負荷低減に取り組むとしている。