川崎重工、25年度の売上収益は8.5%増の2兆3,112億円、26年度予想は10.8%増の2兆5,600億円

・受注高は前期比1,084億円増(4.1%増)の2兆7,391億円

・26年度予想は7.3%減の2兆5,400億円となる見通し

川崎重工業が5月12日に発表した2026年3月期(2025年度)業績によると、連結受注高は前期比1,084億円増加の2兆7,391億円、連結売上収益は前期比1,819億円増収の2兆3,112億円、事業利益は前期比19億円増益の1,451億円(過去最高を更新)、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比201億円増益の1,081億円となった。また、事業利益率は6.3%、税後ROICは9.0%、ROEは13.7%となった。資本コスト(WACC)は10%台と算出している。

2025年度の世界経済は、中東情勢を発端とする原油価格高騰と供給制約により各国において景気減速やインフレなどのリスクが顕在化した。さらに、長期化する中国経済の停滞や米中関係の緊張、米国関税の影響も重なり、先行きは不透明さを増している。国内においては、好調な雇用・所得環境や個人消費の回復、設備投資の拡大など内需主導で緩やかな景気回復が続いているものの、中東情勢や各国の政策、金融資本市場の動向などが経済に与える影響には引き続き注視が必要な状況となった。

このような経営環境の中で、2025年度における川崎重工グループの連結受注高は、航空宇宙システム事業で減少となったものの、車両事業、精密機械・ロボット事業などでの増加により、前期比で増加となった。連結売上収益については、パワースポーツ&エンジン事業を中心とした各事業での増収により、前期比で増収となった。利益面については、パワースポーツ&エンジン事業での減益はあったものの、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業での増益などにより、事業利益は前期比で増益となり過去最高を更新した。親会社の所有者に帰属する当期利益は、事業利益の増加や為替差損益の改善などにより、前期比で増益となった。

川崎重工2026年3月期データ

■セグメント別業績の概要
<航空宇宙システム事業>
抜本的な防衛力強化や航空旅客需要の回復による需要の増加が期待される中で、連結受注高は、民間航空機向け分担製造品や民間航空エンジン分担製造品などが増加したものの、防衛省向けの大口案件の受注があった前期に比べ719億円減少の8,109億円となった。
連結売上収益は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品などが増加したことにより、前期に比べ458億円増収の6,136億円となった。事業利益は、増収などにより、前期に比べ66億円増益の624億円となった。
<車両事業>
国内市場はインバウンドの復調等により鉄道車両への投資が継続しており、海外市場は大都市の混雑緩和対策のための都市交通整備などに伴う需要が見込まれる中で、連結受注高は、ニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車を受注したことなどにより、前期に比べ675億円増加の3,191億円となった。
連結売上収益は、国内・米国向けが増加したことなどにより、前期に比べ138億円増収の2,362億円となった。事業利益は、増収などにより、前期に比べ2億円増益の86億円となった。
<エネルギーソリューション&マリン事業>
国内外の分散型電源需要やエネルギーインフラ整備需要は依然根強く、国内ごみ焼却設備の老朽化更新需要も継続している。連結受注高は、前期に複数隻を受注したLPG/アンモニア運搬船などの減少はあったものの、国内向けごみ処理施設建替工事や国内向けLNG基地大型増強工事を受注したことなどにより、前期に比べ108億円増加の5,529億円となった。
連結売上収益は、船舶海洋分野やプラント分野での増収などにより、前期に比べ354億円増収の4,335億円となった。事業利益は、増収や持分法による投資利益の増加などにより、前期に比べ107億円増益の550億円となった。
<精密機械・ロボット事業>
中国建設機械市場は鉱山向け需要や輸出を中心に拡大傾向にあり、AI向け半導体の急成長と汎用メモリの需要増により半導体製造装置向けロボットの需要が高まる傾向にある中で、連結受注高は、中国建設機械市場向け油圧機器が増加したことなどにより、前期に比べ292億円増加の2,785億円となった。
連結売上収益は、中国建設機械市場向け油圧機器の好調継続や半導体製造装置向けロボットの増加などにより、前期に比べ176億円増収の2,591億円となった。事業利益は、増収や持分法による投資損益の改善などにより、前期に比べ73億円増益の143億円となった。
<パワースポーツ&エンジン事業>
米国における関税措置を背景とした市場環境・コスト構造の変化に加え、中東情勢の影響が懸念される中で、連結売上収益は、北米向け四輪車や先進国向け二輪車の増加などにより、前期に比べ734億円増収の6,828億円となった。事業利益は、増収はあったものの、関税コストの上昇に加え、米国パワースポーツ市場における競争環境激化を背景とした採算性の低下、増産投資に伴う固定費の増加などにより、前期に比べ251億円減益の227億円となった。
<その他事業>
連結売上収益は、前期に比べ43億円減収の858億円となった。事業利益は、前期に比べ18億円増益の70億円となった。

川崎重工グループは「グループビジョン2030」において、注力するフィールドを「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」とし、手術支援ロボットや屋内配送ロボットなどの製品・サービスとAI・遠隔技術を組み合わせた病院経営の効率化支援などや、無人ヘリコプタなどモビリティの開発に取り組んでいる。また、水素エネルギーは我が国のカーボンニュートラルだけでなくエネルギー安全保障の観点からも重要性を増しており、液化水素サプライチェーン商用化実証を開始するなど、CO2分離・回収・利用事業などと合わせて早期実用化を目指している。

なお、2024年に判明した潜水艦修繕事業および舶用エンジン事業における不正事案については、特別調査委員会による調査が2025年12月をもって完了した。川崎重工グループは、コンプライアンス・ガバナンス体制の強化に向けた実効性の高い再発防止策に徹底して取り組み、信頼回復に全力で努めていくとしている。

■今後の見通し
2027年3月期の連結業績については、売上収益は航空宇宙システム事業における防衛省向けや民間航空機製造分担品の増加、精密機械・ロボット事業の油圧機器および半導体製造装置向けの増加に加え、パワースポーツ&エンジン事業における北米向け四輪車や欧州向け二輪車の増加により、前期比2,488億円増収の2兆5,600億円(前年度比10.8%増)となる見通し。

事業利益は、増収による増益に加えエネルギーソリューション&マリン事業で採算性改善が進んでいることにより、前期比249億円増益の1,700億円(同17.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,100億円(同1.7%増)、税後ROICは8.6%、ROEは12.0%となる見通し。

連結受注高は、航空宇宙システム事業、車両事業における前連結会計年度の大型受注の反動により前期比1,991億円減少の2兆5,400億円(同7.3%減)となる見通し。
なお、為替レートは1ドル=150円、1ユーロ=180円を前提としている。また、中東情勢による足元の影響についても一定程度織り込んでいる。

川崎重工業の2026年3月期決算短信

決算説明資料