三菱重工、25年度売上収益は14%増の4兆9,741億円、26年度予想は8.6%増の5兆4,000億円

三菱重工業は5月12日、2026年3月期(2025年度)業績を発表した。受注高・事業利益・当期利益・フリー・キャッシュ・フローのいずれも過去最高を更新した。

■ 2025年度決算の概要
2025年度における世界経済は、中国で停滞が見られたものの、全体としてはAI関連分野の生産や投資の拡大により堅調な成長が続き、日本経済も、企業のデジタル関連の投資や個人消費を中心に緩やかな回復基調を維持した。一方、米国の通商政策をめぐる不確実性や中東情勢をはじめとする地政学リスクの高まりなどにより、先行きには引き続き不透明感が残る状況となった。

受注高は、エナジーセグメントなどで大幅に増加したことにより、前年度を1兆2,484億円上回る7兆6,536億円となった。受注残高は前年度末から3兆13億円増加し、13兆2,376億円に達した。

売上収益は、航空・防衛・宇宙セグメントやエナジーセグメントなどで増加したことにより、前年度を6,130億円上回る4兆9,741億円(前年度比14.1%増)となった。事業利益は、エナジーセグメントや航空・防衛・宇宙セグメントなどで増加したことにより、前年度を772億円上回る4,322億円(同21.8%増)となった。事業利益率は8.7%と前年度から0.6ポイント改善した。税引前利益は前年度を1,226億円上回る4,746億円(同34.8%増)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度を866億円上回る3,321億円(同35.3%増)となった。

EBITDAは5,537億円(同17.8%増)、EBITDAマージンは11.1%(同0.3ポイント改善)となった。フリー・キャッシュ・フローは、GTCCを中心とした前受金の入金が先行したことにより、前年度比5,506億円増の8,934億円と過去最高を記録した。有利子負債残高は前年度末比1,356億円減の5,157億円まで低下し、D/Eレシオは0.16、純有利子負債はマイナス8,191億円となった。1株当たり年間配当金は、従前公表の24円から1円上乗せした25円(前年度23円)を予定する。

なお、2025年度より、連結子会社である三菱ロジスネクスト(現:株式会社ロジスネクスト)およびその子会社・関連会社に係る事業を非継続事業に分類している。受注高・売上収益・事業利益は非継続事業を除いた継続事業ベースの数値を表示している。

三菱重工2026年3月期データ

■ セグメント別ハイライト
【エナジー】
受注高は前年度比13,142億円増の3兆9,367億円、売上収益は同2,468億円増の2兆626億円、事業利益は同619億円増の2,672億円(同30%増)となった。

GTCCは、データセンター向けを中心とした旺盛な電力需要を背景に市場が拡大するなか、大型ガスタービンを35台受注した。受注高は前年度の1兆4,744億円から2兆6,526億円へ大幅に拡大し、受注残高は5兆円を超えた。売上収益も7,907億円から9,922億円へ25%増加した。旺盛な需要に対応すべく、高砂工場での増産体制を構築中で、リーンな体制でのスループット最大化を目指している。受注は主に北米・アジアで好調で、採算改善も伴い増益となった。

原子力は、国内軽水炉・燃料サイクル施設・高速炉や高温ガス炉の実証炉開発など各分野で受注が拡大し、受注高は3,908億円から5,406億円へ増加した。売上収益は2,990億円から3,611億円(21%増)となり、売上・利益ともに堅調に推移した。原子力の事業規模は、FY11〜FY19の年平均約2,000億円、FY20〜FY24の約3,000億円から、FY25以降は3,600億円〜の水準に拡大している。

スチームパワーはサービスの伸長で採算が改善した一方、南アフリカ向けを含む一部工事で損失を計上し、事業利益は前年度比で減益となった。

【プラント・インフラ】
受注高は前年度比1,578億円増の1兆1,580億円、売上収益は同287億円増の8,808億円、事業利益は同244億円増の841億円(同41%増)、事業利益率は9.5%となった。

エンジニアリングは化学プラントで大型案件を受注し受注高が大幅に伸長した。製鉄機械・機械システムは前年の大型受注のリバウンドで受注こそ減少したが、売上・利益ともに好調を維持した。その他では環境設備の受注が増加した。

【物流・冷熱・ドライブシステム(除くML)】

受注高は6,381億円、売上収益は6,308億円、事業利益は330億円(同62%増)、事業利益率は5.2%となった。エンジンはアジア向けを中心に堅調で増収増益。ターボチャージャは販売台数が減少したものの、サプライチェーンの混乱が収束し増益となった。

なお、同セグメントに含まれていた三菱ロジスネクストおよびその子会社・関連会社に係る事業については、2025年9月30日の取締役会決議を経て非公開化手続きを進め、2026年5月1日に完了している。

【航空・防衛・宇宙】
受注高は前年度比1,706億円減の1兆9,294億円となったが、依然として高水準を維持した。売上収益は同3,632億円増の1兆3,938億円、事業利益は同515億円増の1,515億円(同52%増)、事業利益率は10.9%となった。

防衛・宇宙では、豪州向けフリゲートをはじめとする複数の大型案件を受注した。FY23以降の旺盛な受注を背景に、売上高は前年度比約4割増の大幅な伸びを示した。4兆円を超えた受注残を着実に遂行すべく、引き続き生産設備・人員リソースの増強を進めている。民間航空機では、777・777X・787の出荷機数がいずれも前年度を上回った。

■ 2026年度の業績見通し
2026年度(2027年3月期)の連結業績予想は以下のとおり。

売上収益 5兆4,000億円(前年度比8.6%増)、事業利益 5,400億円(同24.9%増、事業利益率10.0%)、税引前利益 5,300億円(同11.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益 3,800億円(同14.4%増)。EBITDAは6,600億円(同19.2%増)、EBITDAマージンは12.2%(同1.1ポイント改善)を見込む。フリー・キャッシュ・フローは前受金の入金が一巡することから3,000億円を見込む。1株当たり配当金は前年度比4円増の29円(中間14円・期末15円)を予定する。

セグメント別の見通しはエナジーが受注高3兆4,500億円・売上収益2兆2,000億円・事業利益3,400億円、プラント・インフラが受注高1兆円・売上収益9,500億円・事業利益900億円、インダストリアル・ソリューション(2026年4月の組織再編に伴いセグメント名を改称)が受注高7,500億円・売上収益7,500億円・事業利益300億円(黒字転換)、航空・防衛・宇宙が受注高1兆6,500億円・売上収益1兆5,000億円・事業利益1,700億円となっている。

事業利益の増減要因としては、エナジー・航空・防衛・宇宙を中心とした売上増・利益率改善で約830億円の押し上げ、前年度に計上した電源システムソリューションののれん減損(約300億円)のリバウンドなどが増益に貢献する一方、賃金アップ等の費用増(約252億円)が押し下げ要因となる見込み。

未確定外貨に係る為替レートの前提は、1ドル150円、1ユーロ180円。なお、業績見通しには中東情勢の影響は含まれていない。

2026年3月期決算短信
決算説明資料