TriOrb、シリーズBで28.8億円調達、球駆動式360°移動プラットフォームの量産化と米国展開を加速

TriOrb(福岡県北九州市)は6月1日、シリーズBラウンドにおいて第三者割当増資と融資を合わせて28.8億円の資金調達を完了したと発表した。これにより累計調達額は42.3億円に達した。

同社は「移動プラットフォームで、次世代産業の基盤をつくる」をミッションに、独自開発の球駆動式360°全方向移動プラットフォーム「TriOrb BASE」の開発・社会実装を進めている。3つの球体と3つのモーターによるシンプルな機構で、前後・左右・回転を独立制御し、従来の車輪式AGV/AMRでは困難だった高精度位置決め、外乱耐性、耐荷重性能を実現する点が特徴。

PoCから量産フェーズへ完全移行
今回の調達の最大のポイントは、実証実験(PoC)中心の段階から、本格的な市場導入・量産化フェーズへの移行を本格化させる点にある。

同社は今年に入り、基盤ソフトウェアの大幅自社開発アップデートを完了するとともに、重量可搬モデルの製造現場への導入をすでに開始。調達資金は量産モデルの設計最適化、品質管理体制の構築、安定供給チェーンの確立に充てる方針。

製造業が直面する変種変量生産対応や人手不足解決に向け、工程間搬送やロボットプラットフォームとしての柔軟な活用が期待される。

■デトロイト拠点開設で米国市場を本格視野に

事業戦略のもう一つの柱がグローバル展開。今年1月に米デトロイトに拠点を開設。米国の製造業集積地を起点に、現地ニーズに即した展開を加速させる。

TriOrb BASEは、フレキシブルで自律的な次世代生産ラインの実現に寄与する技術として、世界的な注目を集めている。資金の一部を米国事業拡大に充て、グローバルでのデファクトスタンダード確立を目指す。

■経営体制強化と人材獲得を並行推進

経営体制の高度化も進める。新たに未来創生3号ファンドを運営するスパークス・アセット・マネジメントが参画し、同社から出路貴規氏を社外取締役として迎える。
出路氏は製造業分野での豊富な知見とネットワークを持つ。意思決定の質向上と組織の多様性強化に寄与すると期待される。また、自律走行技術のさらなる高度化や生産ライン実装を担うエンジニアを中心に、積極的なプロフェッショナル人材の採用も進める。

■資金調達の概要

  • 調達金額:28.8億円(第三者割当増資+融資)
  • 主な引受先(第三者割当増資):未来創生3号ファンド(スパークス・アセット・マネジメント)、UTEC、MUCAP、DRONE FUND、JST、AISol、みずほキャピタル(順不同)
  • 融資:みずほ銀行、三菱UFJ銀行
    スパークス・アセット・マネジメントの深川健太氏は「球体駆動による全方向移動と高い位置決め精度という独自性に大きな魅力を感じた。日本発のロボティクス企業としてグローバル成長に期待している」とコメント。リード投資家のUTECも継続的な支援を表明している。

TriOrbの石田社長は、製造業の現場課題を真正面から解決するプラットフォームとして、今後さらにプロダクトの完成度を高め、国内外の生産現場に価値を提供していく方針だ。

機械産業の自動化・ロボット化が進む中、従来技術の延長線上ではない独自機構を持つTriOrbの動向は、今後も業界の注目を集めそうだ。

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