コネ(KONE Corporation):2026年4月29日
フィンランドの昇降機大手コネは4月29日、アドベント(Advent)およびシンベン(Cinven)主導のコンソーシアムと、同社が共同支配する持株会社バーティカル・トップコI(Vertical Topco I S.A.)を通じて、ティーケー・エレベーター(TK Elevator GmbH、以下TKE)との統合に関する契約を締結したと発表した。現金および株式を対価とする取引で、昇降機・エスカレーター業界における世界的企業の創出を目指す。
本統合により、地理的展開と技術基盤が相互補完的な両社の強みを結集。サービスおよびモダニゼーション分野での高い競争力と、デジタルサービス開発を加速する体制を構築する。安全性・持続可能性・データ活用への需要が高まる都市型垂直輸送分野において、顧客ニーズへの対応力を一段と高める。
シナジー効果は年間約7億ユーロ(約1,309億円、187円換算、年率ベース)のコスト削減を見込み、顧客および株主双方に価値をもたらすとしている。直近実績ベースでは、統合後の年間売上高は約205億ユーロ、うち約65%がサービスおよびモダニゼーション事業となる見通し。調整後EBITは27億ユーロ超(シナジー除く)、保守管理台数は約320万台に達する。
■統合の概要と狙い
TKEは米州を中心に強固な事業基盤を持つ一方、コネはアジア市場で強みを持つ。統合によりグローバルでバランスの取れた事業展開が可能となる。また、IoTや予知保全技術を含む新サービス開発を加速し、老朽化が進む世界の昇降機設備に対する модерナイゼーション需要の取り込みを図る。
サービス網の高密度化により、据付・保守サービスの品質向上と対応力強化も見込む。統合後は収益の約65%がストック型のサービス・改修事業となり、安定性と収益耐性が向上する。
■取引条件
コネはTKEの全資産を保有するバーティカル・トップコII(Vertical Topco II S.A.)の全株式を取得する。対価は現金50億ユーロと最大2億7,000万株のコネB種株式。2026年4月28日時点の株価ベースで株式対価は約152億ユーロとなる見込み。
本取引に基づくTKEの企業価値は約294億ユーロ(有利子負債含む)。約92億ユーロの既存債務はリファイナンス予定。統合後は投資適格級の信用格付けを取得する見込み。
■経営体制
統合後の新会社はフィンランドに本社を置き、従業員数は10万人超、100カ国以上で事業を展開する。コネのフィリップ・ドロルム(Philippe Delorme)社長兼CEOが引き続き経営を担い、CFOはイルッカ・ハラ(Ilkka Hara)氏。取締役会議長はアンティ・ヘルリン(Antti Herlin)氏が続投する。
また、TKE株主側は最大2名の取締役指名権を有する。統合に向けた戦略・統合委員会も設置し、事業統合および経営体制の整備を進める。
■スケジュール
本件は規制当局の承認およびコネ臨時株主総会の承認を条件とし、2026年6月に株主総会を開催予定。2027年第2四半期以降の完了を見込む。
■今後の展開
コネは本統合により、サービス・モダニゼーション領域への戦略シフトを加速し、収益基盤の強化を図る。シナジー実現は完了後3年以内にフル寄与を見込み、EBITマージンの大幅な改善を目指す。
都市化の進展を背景に需要が拡大する垂直輸送分野において、両社の統合は業界再編の中核的動きとなる可能性が高い。今後の規制審査および統合プロセスの進展が注目される。
■コネ(KONE)について
コネ(KONE)はエレベーター・エスカレーター業界のグローバルリーダーとして、スマートで持続可能なピープルフロー®(People Flow®)ソリューションを通じ、毎日20億人の安全・快適・確実な移動を支えている。2025年の年間売上高は112億ユーロ、世界約70カ国に6万人超の従業員を擁する。株式はフィンランドのナスダック・ヘルシンキ(Nasdaq Helsinki Ltd.)に上場。
■TKエレベーター(TK Elevator)について
TKエレベーター(TK Elevator、TKE)は縦移動・都市モビリティ分野のグローバルリーダー。2020年にティッセンクルップ(thyssenkrupp)グループから独立。2024/2025年度の売上高は92億ユーロ。世界1,000カ所超のサポートセンターに約5万人の従業員、2万5,000人のサービス技術者を擁する。