エンジンメーカーのドイツ(DEUTZ)、16億ユーロでFFGを買収、防衛事業を新たな柱に欧州有力システム企業へ転換加速

ドイツ(DEUTZ) :2026年7月9日

ドイツ(DEUTZ)は、ドイツの軍用車両メーカーであるエフエフジー・フレンスブルガー・ファールツォイクバウ・ゲゼルシャフト(FFG Flensburger Fahrzeugbau Gesellschaft mbH)の全株式を約16億ユーロで取得する契約を締結したと発表した。買収により、防衛事業を新たな成長の柱に位置付け、軍用車両、推進システム、エネルギーソリューションを提供する欧州有数のシステムプロバイダーへの転換を加速する。

買収額約16億ユーロ(約2,960億円、185円換算)は現金とドイツ(DEUTZ)の新株発行を組み合わせて支払う。これにより、FFGの現オーナー一族は最大29.9%を保有するドイツ(DEUTZ)の長期アンカー株主となる予定である。

FFGはドイツ・フレンスブルクに本社を置き、従業員約1,100人を擁する欧州有数の軍用陸上車両・特殊車両メーカー。ドイツ連邦軍(Bundeswehr)をはじめ、北大西洋条約機構(NATO)加盟国やウクライナ軍向けに装甲回収車、歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車、特殊車両の製造、整備、近代化を手掛けるほか、自社開発プラットフォームやNATO多国間防衛プログラム向け製造も行っている。

買収後もFFGは経営面で独立性を維持し、ドイツ(DEUTZ)の新たな「ディフェンス事業部門」の中核企業となる。ドイツ(DEUTZ)は、ディーゼルエンジンやハイブリッド駆動システム、戦地向け分散型電源ソリューションなどの推進技術、工業化・量産技術、世界規模のサービスネットワークを組み合わせ、防衛分野の総合システムプロバイダーを目指す。

セバスチャン・シュルテ博士(Dr. Sebastian Schulte)最高経営責任者(CEO)は、「FFGとの統合により、ドイツ(DEUTZ)は軍用車両、推進システム、エネルギーソリューションを提供するドイツ有数のシステムプロバイダーとなる。欧州の安全保障と将来のレジリエンス強化に貢献するとともに、ドイツ国内の付加価値創出と質の高い雇用を確保する」と述べた。

一方、FFG株主代表のノルベルト・エリクセン(Norbert Erichsen)氏は、「今回の戦略的統合は次世代に向けた基盤づくりであり、両社の強みを融合したドイツの防衛産業グループを形成し、長期的な成長を促進する」とコメントした。

両社は、生産能力の迅速な拡大によってドイツおよび欧州の防衛力強化に貢献できるとしている。また、防衛プログラムは10~30年に及ぶ長期案件が多く、防衛技術を国内に保持するとともに、高度な技能を持つ雇用の維持にも寄与すると強調した。

FFGは現在、高成長局面にあり、ドイツ商法(HGB)ベースで2025年売上高は約7億6,000万ユーロ(約1,406億円)。受注残高は現在の売上高を大幅に上回る水準に達している。

今回の買収は、ドイツ(DEUTZ)が推進する中期戦略「ネクスト・ドイツ(Next DEUTZ)」の重要な節目となる。今後は、防衛事業をエネルギー事業、エンジン事業、ニュー・テック事業、全事業の成長を支えるサービス事業と並ぶ中核事業へ育成する方針である。

さらに、エンジン事業とサービス事業を中心に大きな売上シナジーを見込むほか、コストシナジーの創出も期待しており、統合後はグループ全体のEBIT(利払い・税引き前利益)率の大幅な改善につながる見通しだ。この結果、2030年に掲げる売上高40億ユーロ(約7,400億円)、EBIT率10%という経営目標も前倒しで達成できる可能性が高まるとしている。

なお、本件は2026年8月24日に開催予定の臨時株主総会での現物出資による増資承認に加え、関係当局の承認取得などを条件としている。すべての条件が満たされた場合、取引完了は2026年末から2027年第1四半期を予定している。

ニュースリリース