鹿島建設は6月29日、オフィスビルなどで広く採用されるシステム天井の施工を革新する「天井ボード取付ロボット」と「移動式天台(作業床)」を開発し、施工中のオフィスビル現場に導入したと発表した。テムザック(京都市上京区)との共同開発によるロボットと、可動式作業床の組み合わせにより、従来の課題であった省人化と仮設材の大幅削減を両立させた。
■開発背景:技能者不足と仮設工事の非効率
オフィスビルのシステム天井施工では、技能者が天井作業を行うため、従来は仮設材(天台)を施工範囲に大量に敷き並べる必要があった。特に超高層ビルでは1フロアあたり約200台もの天台を要し、搬入・組立・設置作業の負担が大きい上、転落などの危険性や仮設エレベータの専有時間増加が問題となっていた。
加えて、建設需要の高まりに伴う技能者不足と高齢化が進む中、生産性向上と安全性の確保が急務となっていた。鹿島建設は「鹿島スマート生産」ビジョンの一環として、「作業の半分はロボットと」をコンセプトに掲げ、システム天井工事の自動化に取り組んできた。
天井ボード取付ロボットの特長
共同開発した天井ボード取付ロボットは、以下の4要素で構成される:
- ボードを最大40枚積載するストッカー
- 作業位置へ移動・調整を行う移動体(2分割可能、本設エレベータ対応)
- ボードを吸引・取り付けるロボットアーム
- 制御PC(専用タブレット接続)
操作の簡便さが最大のポイントだ。タブレットで施工範囲を指定しスタートボタンをタップするだけで、ロボットが天井下地との相対位置を自動計測し、移動・位置調整を行いながらボードを所定位置に取り付ける。特別なスキルや資格は不要で、煩雑な図面読み込みも不要である。
障害物回避機能も優れており、アーム先端センサが設備ダクトや耐震ブレースなどの障害物を検知。複数の設置軌道から最適なものを自動選択する。
施工速度は1枚あたり約1分。ロボットが自動施工を繰り返す間、技能者は狭隘部などの手作業を並行して進められる。
■移動式天台の特長
移動式天台は、従来天台にリモコン操作可能な駆動装置を搭載したもの。メカナムホイールにより全方向移動が可能で、技能者を乗せたまま安全に任意の位置へ移動できる。1つの駆動装置で最大3台連結でき、作業床面積が広く、資材搭載量も多い。
天台の高さ調整も可能で、システム天井施工だけでなく空調ダクトなどの設備工事にも柔軟に対応する。これにより、従来の全面足場設置を大幅に削減できる。
■導入効果:省人化と安全性の大幅向上
施工現場での検証では、在来工法で技能者2人必要だった天井ボード施工を、ロボット2台+技能者1名で実施可能であることを確認。省人化効果が明確に表れた。
さらに、移動式天台の活用により天台使用数を約9割削減。仮設材の搬入・移動作業が大幅に減少し、天台設置関連の安全性も向上した。ロボットと移動式天台の併用が、システム天井施工全体の効率化と安全強化に寄与している。
■今後の展望
鹿島建設は今後も「鹿島スマート生産ビジョン」のもと、ICTとロボット技術の活用を推進し、働き方改革と魅力的な建築生産プロセスを実現していく方針。
建設機械業界では、労働力不足対策としてのロボット・自動化技術がますます注目される中、鹿島の取り組みはシステム天井工事分野における実用的なブレークスルーとして評価されそうだ。現場導入実績のさらなる拡大と、他工程への展開が期待される。
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