日立造船、タイに合弁会社「TANGENT HITZ CO., LTD.」を設立

・10 月より水門など鉄鋼構造物を製作

 日立造船は、海外における水門事業の拡大を目指し、2023 年 8月にタイに合弁会 社「TANGENT HITZ CO., LTD.」(ラヨーン県)を設立したが、10月5日、同社が現地の鉄鋼構造物メーカーである TANGENT 社との間で工場建屋や機械設備などの資産買収に関する契約を締結し、工場の操業を開始したと発表した。

 東南アジアには 5 カ国を流れる国際河川であるメコン川や、タイのチャオプラヤ川など大きな河 川が複数あり、雨季は洪水が発生することが多く、各地で河川用水門(河口堰)の設置や水力発電を目的としたダム建設が行われきた。タイやインドネシア、フィリピンなどでは現在でも洪水が頻発していることから河川ゲートの需要が高く、水力発電所を伴うダムの建設が数多く計画されている。

 日立造船はこれまで、「治水」「利水」「発電」の3つの大きな役割を担うダム用水門、川の水位を調整 し、洪水や高潮から町を守る河川用水門、ダム再開発工事で用いられる仮締切設備、津波・高潮対策の防潮水門などを国内外で多数納入しているが、TANGENT HITZ の設立は、海外における新設需要に対応した海外製造拠点の確保や将来的な水門設備の更新需要などを見込んだもの。

 今回買収した工場建屋の面積は約 6,480 m²であり、切断、曲げ加工、溶接、機械加工の各設備や 10 トンの天井クレーン 4 基などを備え、高い精度が要求される大型水門の製作に対応している。 また、水門以外にも鉄骨やプラント機器、海洋構造物などの製作も可能。

 水門設備は、各国で最初に整備される社会インフラ設備の1つであり、人々の命や豊かな生活を支えている。日立造船は 1923 年に水門事業を開始し、これまで海外向けでは東南アジアやアフリカ、 北米、南米など 11 カ国・約30か所に水門設備を納めてきた。100 年におよぶ実績を活かし、 これからも各国の社会インフラ整備に貢献していく。

<事業会社の概要>
会社名:TANGENT HITZ CO., LTD.
所在地:タイ王国ラヨーン県
代表取締役:比留間 堅
事業内容:水門、鉄骨、プラント機器、海洋構造物などの受注・製作・販売など
設立:2023 年 8 月
資本金:600 万タイバーツ(約 2,400 万円)
出資比率:日立造船株式会社 49%
Bangkok MUFG Limited 19%
M&A Advisory Co., Ltd. 16%
Aura Innovation (Thailand) Co., Ltd. 16%

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