コマツ、25年度売上は0.7%増の4兆1,328億円、26年度予想は0.4%減の4兆1,180億円

コマツが4月28日に発表した2026年3月期(2025年度)連結業績によると、売上高は4兆1,328億円(前期比0.7%増加)となった。建設機械・車両部門では、販売量が減少したものの、主に販売価格の改善により売上高は前期を上回った。産業機械他部門では、自動車産業向け大型プレスの販売増加と半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は前期を上回った。

利益については、建設機械・車両部門は販売価格の改善に努めたものの、コスト増や販売量減少により減益となった。一方で、リテールファイナンス部門および産業機械他部門は増益となった。この結果、営業利益は5,673億円(前期比13.7%減少)となった。売上高営業利益率は前期を2.3ポイント下回る13.7%、税引前当期純利益は5,373億円(前期比11.2%減少)、株主に帰属する当期純利益は3,764億円(前期比14.4%減少)となった。

コマツは、2025年4月より2028年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「Driving Value with Ambition 価値創造への挑戦」をスタートした。ありたい姿として「安全で生産性の高いクリーンな現場を実現するソリューションパートナー」を再定義し、成長戦略の3本柱として①イノベーションによる価値共創、②成長性と収益性の追求、③経営基盤の革新を掲げている。

コマツ2026年3月期データ

■部門別の概況
[建設機械・車両]
 
建設機械・車両部門の売上高は3兆8,060億円(前期比0.2%増加)、セグメント利益は4,911億円(前期比18.0%減少)となった。当期において、建設現場向け施工管理ソリューションのスマートコンストラクション®を着実に推進し、日米欧豪でのICT建機の販売割合を示す「ICT建機化率」は28.7%となった。また、鉱山機械では、無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数が本年3月末時点で1,016台に達した。本年2月27日にSRC of Lexington社の建設・鉱山機械用コンポーネント・部品のリマニュファクチャリング事業を買収した。また、本年4月1日には林業機械メーカーであるMalwa Forest社の買収を完了している。

■地域別の概況
<米州> 北米では、前期に大口商談があった鉱山機械の販売が減少したものの、一般建機はエネルギーやインフラ向けなどで需要は堅調に推移し販売が増加したことなどにより、売上高は前期比で2.0%増加した。中南米では、銅需要が堅調に推移したことによりチリなどで鉱山機械の販売が増加したことから、売上高は前期比で13.7%増加した。
<欧州・アフリカ・中近東> 欧州では、景況感の改善に加え、ドイツやイギリスのインフラ投資計画などを背景に需要は概ね堅調に推移し、一般建機の販売が増加したことや円安の影響により、売上高は前期比で10.8%増加した。アフリカでは、鉱山機械の販売が増加したことや円安の影響により、売上高は前期比で15.9%増加した。中近東では、UAEでの大型インフラプロジェクトに関連する需要および販売が堅調に推移したものの、中東情勢の影響により第4四半期には減少へ転じ、売上高は前期比で1.7%減少した。
<オセアニア・アジア・CIS> オセアニアでは、鉱山機械の販売が増加したことにより、売上高は前期比で2.3%増加した。アジアでは、主にインドネシアにおいて石炭価格が低調に推移したことにより、鉱山機械の需要が低迷し、売上高は前期比で32.9%減少した。中国では、不動産市況の低迷に加え、鉱山機械の需要が減少したことから、売上高は前期比で5.5%減少した。CISでは、中央アジアにおいて鉱山機械の販売が減少した一方で、一般建機においてインフラ関連プロジェクト向けの販売が増加したことにより、売上高は前期比で1.7%増加した。
<日本> 日本では、人件費・資材価格高騰や労働力不足などを背景に一般ユーザー向けおよびレンタル向け需要が引き続き低迷していることから、売上高は前期比で4.6%減少した。

[リテールファイナンス]
 
リテールファイナンス部門では、債権残高の拡大に伴う金利収入の増加により、売上高は1,261億円(前期比2.4%増加)、セグメント利益は資金調達コストの低下および債権残高の拡大に伴う金利収益の増加により、366億円(前期比24.4%増加)となった。

[産業機械他]
 
産業機械他部門では、主に自動車産業向けの大型プレスの販売増加や半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は2,388億円(前期比6.8%増加)、セグメント利益は379億円(前期比38.5%増加)となった。

■2026年度は減収減益見通し:米国関税・中東情勢が重石、一般建機は底堅く
 
2027年3月期(2026年度)の連結業績は、以下のとおり減収減益となる見通し。売上高4兆1,180億円(前期比0.4%減)、営業利益5,080億円(同10.5%減)、税引前当期純利益4,660億円(同13.3%減)、株主に帰属する当期純利益3,180億円(同15.5%減)。

建設機械・車両部門では、販売価格改善に努めるものの、中東情勢の影響を受けた物量減の影響により減収となる見通し。利益については、販売価格改善に努めるものの、物量減や関税影響の拡大、調達価格上昇等の原価差損のマイナス影響により減益となる見通し。リテールファイナンス部門では、主に債権残高の拡大に伴い増収となるものの、コスト増加により減益となる見通し。産業機械他部門では、半導体産業向けで顧客の増産基調を受けて販売が増加する一方、自動車産業向けは大型プレスおよび車載電池製造装置の販売減少などにより、増収減益となる見通し。

業績見通しにおける為替レートは、1米ドル=150.0円、1ユーロ=174.0円、1豪ドル=106.0円を前提としている。

■ 業績に織り込んだ主要リスク要因

今期見通しの前提として、コマツは二つの大きなリスクを明示した。米国関税については、コスト増として378億円(損)の影響を見込む。IEEPA関税は廃止されたものの、前提条件として「122条追加関税(税率10%)が年間を通じて適用」「鉄鋼アルミ関税は4月6日より通関価格に対し派生品25%、鉄アルミ製品50%で適用(含有量計算は廃止)」とした。一方でIEEPA関税の還付金300億円を見通しに織り込んでいる。

中東情勢については、売上への影響として901億円の減収、調達・輸送コスト増として188億円(損)の影響を見込む。中近東地域の直接的な需要減少に加え、石油依存度の高い国・地域における間接的な需要減少、さらに原油価格高騰に伴う燃料・塗料・ナフサ等の調達コスト上昇や海上輸送費の増加が続くと想定している。

■ セグメント別見通し

建設機械・車両部門は売上高が前年比0.4%減の3兆7,900億円、セグメント利益は同10.4%減の4,400億円を見込む。利益率は前年の12.9%から11.6%へ1.3ポイント低下する。増減要因の分解では、販売価格改善(+689億円)および為替影響(+270億円)がプラスに寄与するものの、物量減(▲1,119億円)、原価差(▲496億円)、固定費増(▲431億円)がこれを上回る。米国関税の拡大と中東情勢による調達価格上昇が原価差悪化の主因。

地域別の外部顧客向け売上高見通し(3兆7,782億円、前年比0.5%減)では、北米(+57億円)、中南米(+427億円)、欧州(+128億円)、アフリカ(+187億円)がプラスとなる一方、中近東が中東情勢の影響で大幅減(▲476億円、▲49.4%)となる見通し。為替影響を除いた実質ベースでは前年比1.2%の減収となる。

リテールファイナンス部門は売上高が前年比1.1%増の1,275億円と増収を見込む一方、セグメント利益は主にコスト増加により同1.6%減の360億円と微減の見通し。資産残高は前年度末比236億円増の1兆6,415億円、新規取組高は前年比50億円増の1兆1,959億円を見込む。

産業機械他部門は売上高が前年比0.1%増の2,390億円とほぼ横ばいながら、セグメント利益は同2.5%減の370億円と増収減益の見通し。半導体産業向けではギガフォトン(エキシマレーザー)が市場回復を背景に増産基調の顧客対応で販売増加(+58億円)が見込まれる一方、自動車産業向けではコマツ産機の大型プレスや車載電池製造装置の販売が減少(▲64億円)。中東情勢を受けた調達価格上昇もコストを押し上げる。

■ 主要建機・鉱山機械の需要見通し

主要7建機の2026年度需要は全体で前年比±0%〜▲5%と見込む。2025年度は前年比+5%と増加したが、伸びの勢いは鈍化する見通し。地域別では、北米はインフラ・エネルギー・データセンター向け需要が引き続き堅調で前年並みを維持。欧州はドイツ・英国の公共投資が需要を牽引し±0%〜+5%と底堅い。アジアはインドが堅調に推移する一方、インドネシアの石炭向け需要が大幅に落ち込む見通しで▲5%〜▲10%と厳しい展開が予想される。日本は前年並みを見込む。

鉱山機械の需要は2025年度に前年比▲10%と落ち込んでおり、2026年度もさらに▲10%〜▲15%の減少を見込む。石炭向け需要低迷と中東情勢の影響によりアジア・中近東で減収。北米・オセアニアでも鉱山会社の更新サイクルが一巡し需要が減少する局面にある。主要鉱物の価格動向については、銅・金が長期的に高値圏を維持しているものの、鉱山会社の設備投資判断への反映には時間差がある。

一般建機(外部顧客向け)は前年比+1.5%増収の1兆9,197億円と、全体の中で数少ない増収が見込まれるセグメントだ。中東情勢の影響で中近東・アジアの一部で減収となるものの、インフラ・エネルギー需要が堅調な北米(+140億円)や公共投資が需要を牽引する中南米(+339億円)、欧州(+125億円)での増収がカバーする。

■ アフターマーケットは安定的に拡大

建設機械・車両部門の外部顧客向け売上高に占めるアフターマーケット(部品+サービス等)比率は、2025年度の52%から2026年度も53%を維持する見通しで、収益の安定性を支える柱として機能し続ける。部品売上高は前年比2.2%増の1兆785億円を見込む。

■ 投資・コスト計画

設備投資は1,610億円(前年比約9%増)を計画。生産・販売拠点への投資に加え、本社建て替えが押し上げ要因となる。研究開発費は1,300億円(前年比約7%増)で、多様な動力源への対応や自動化・遠隔化への重点投資を継続する。固定費は賃上げによる人件費増加と研究開発費増加を構造改革効果で一部相殺しつつも、全体では前年比増加の見通し。

■ キーポイント

今期の見通しは、地政学リスク(中東情勢)と通商政策リスク(米国関税)という二つの外部要因が同時に業績を圧迫する局面への対応が焦点となる。一般建機の底堅さと北米・欧州・中南米での需要維持が下支えとなるものの、鉱山機械の需要サイクル調整と中近東地域の急減が全体の足を引っ張る構図。配当は190円を維持し株主還元の継続姿勢を示しているが、配当性向は53.8%と過去と比べ高水準になる。経営目標として掲げる「業界トップレベルの営業利益率」の早期回復に向けた取り組みが問われる一年となりそうだ。​​​​​​​​​​​​​​​​

ニュースリリース

コマツの2026年3月期決算短信

決算説明資料