国際ロボット連盟(IFR)、ロボット導入が雇用・生産性・競争力に与える影響を分析

・自動化は雇用を奪うだけではなく、生産性向上や新たな職務創出に寄与

国際ロボット連盟(IFR) :2026年8月11日

国際ロボット連盟(IFR)は8月11日、ロボット導入が雇用、生産性、企業競争力などに与える影響を分析した新たなポジションペーパー「ロボットの影響―雇用、生産性、競争力(The Impact of Robots: Employment, Productivity and Competitiveness)」を公表した。ロボットによる自動化が労働市場、企業業績、経済成長に及ぼす影響について、最新の研究成果や実証データをまとめたものである。

今回のペーパーは、従来の「ロボットが雇用・仕事に与える影響(The Impact of Robots on Employment and Jobs)」に代わるものである。

自動化をめぐる議論では、ロボットによる雇用喪失への懸念が中心となることが多い。一方、IFRは、ロボット導入による雇用への影響はより複雑であり、「代替効果」「生産性効果」「再雇用・新規雇用創出効果」の相互作用を通じて捉える必要があるとしている。

ロボットは特定の作業を自動化する一方、生産性を高め、新たな作業や職種を生み出すほか、企業の生産能力拡大や競争力維持にも寄与する。こうしたことから、ロボットは単純に労働者を置き換える存在ではないと指摘している。

■生産性向上で雇用や競争力を支援

IFRによると、ロボット・自動化技術の導入は企業の生産性と競争力を高めると同時に、労働力不足や人口動態の変化への対応にもつながる。自動化の恩恵を最大限に引き出すためには、労働者が適切な技能や教育・訓練を受けられる環境を整備することが重要となる。

今回のポジションペーパーでは、ロボットが与える影響について10項目の主要な知見を示している。主な内容は以下の通りである。

・自動化は生産性を高め、需要を刺激することで、雇用の増加を支える可能性がある。
・ロボットは通常、職業そのものではなく、職業を構成する特定の作業を代替する。
・ロボットは、汚い、単調、危険、繊細といった作業を担うことで、労働環境を改善する。
・自動化のメリットを享受するには、技能開発、リスキリング(学び直し)、アップスキリング(技能向上)が不可欠である。
・ロボット導入は企業の競争力を強化し、国全体の経済パフォーマンス向上にも貢献する。
・ロボットは労働力不足への対応や、高齢化する経済圏における人口動態変化の影響緩和に寄与する。

また、AI(人工知能)を搭載したロボットの役割が拡大していることにも注目。AI対応ロボットが今後の生産性向上や労働力の変革に果たす役割についても分析している。

■人口減少が自動化を促進

IFRは、人口動態の変化が自動化を促す主要因になりつつあると指摘する。高齢化と労働人口の減少により、製造業や物流など主要産業で労働力不足が進んでいるためである。

ロボットを活用することで、企業は労働力の供給が減少する状況でも生産能力を維持し、成長を継続できるとしている。

さらに、ロボット導入率の高い国では、生産性向上、輸出競争力の改善、産業生産のレジリエンス(強靱性)向上を通じて、国際競争力を強化していると分析。国家レベルのロボット戦略を策定することで、産業政策、イノベーション、人材育成を連携させ、長期的な経済成長を支えることが可能になるとしている。

■国家ロボット戦略の策定を提言

IFRはポジションペーパーの結論として、自動化のメリットを最大限に引き出すには、包括的な国家ロボット戦略が不可欠と指摘する。

国家ロボット戦略では、産業政策、教育、技能開発、イノベーション支援を連携させることが重要である。これにより企業の競争力を強化するとともに、より自動化が進む将来に向けて労働者の技能転換を促すことができるとしている。

IFRのポジションペーパー「ロボットの影響―雇用、生産性、競争力」はダウンロード可能。IFR会員向けには、同テーマに関する論点や主張を整理した「Key Messages」も提供する。

なお、ポジションペーパーおよび関連資料は登録することで無料で入手できる。

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