・CO₂年20万トン削減へ
川崎重工業は4月21日、水素混焼に対応したDLE(Dry Low Emission)燃焼器を搭載するガスタービンコージェネレーションシステム「PUC80D」を帝人松山事業所北地区(愛媛県松山市)に納入し、2月より稼働を開始したと発表した。4基合計で約3万kWの発電能力を持つ。
帝人の松山事業所は同社最大の生産拠点で、従来は石炭や石油を自家発電の燃料として使用していた。今回のPUC80D導入により、燃料を環境負荷の低い都市ガスへ転換。これにより同事業所のCO₂排出量は2018年度比で年間約20万トン削減される見込みとなった。帝人は将来的に水素混焼や専焼への移行を進め、2050年までにCO₂排出ネットゼロの実現を目指す。
同システムの特長は、水や蒸気の噴射を用いず燃焼温度を制御してNOx排出を抑制するDLE燃焼器にある。川崎重工の天然ガス焚きガスタービンは全機種で本体改造なしに水素混焼に対応可能で、既存設備を活用しながら水素圧縮機や燃料混合装置を追加することで、水素を最大30%(体積比)まで任意に混焼できる。これにより低NOxでの安定運転を維持しつつ、水素利用への段階的な移行を可能とする。
同社は、水素混焼から専焼(100%水素)まで対応する燃焼技術のラインアップ拡充を進めており、水素発電はCO₂フリー水素や副生水素の活用拡大において重要な役割を担うと位置付ける。国内のCO₂排出の約4割を占める発電分野において、水素を活用するガスタービンは脱炭素化の有力手段の一つとみられる。今後は水素サプライチェーン(製造・輸送・貯蔵・利用)の構築とあわせ、関連技術の高度化を進める方針だ。
■ガスタービンコージェネレーションシステム「PUC80D」主要仕様
ガスタービンモデル:M7A-03D
発電出力:7,610kW(1基あたり)
燃料消費量:2,040m³N/h
蒸気量:17,130kg/h
NOx値(O₂=0%換算):52.5ppm
発電効率:33.1%
総合効率:85.2%
(条件:吸気温度15℃、大気圧101.3kPa、燃料=都市ガス)