ABB、ヴァーレと戦略提携、ブラジル鉄鉱石事業のデジタル変革を加速

ABB :2026年8月12日

ヴァーレ(Vale)とABBは、ブラジル国内の鉄鉱石事業における自動化、人工知能(AI)、デジタル化の活用を拡大する戦略的提携を締結した。複数の鉄鉱石処理プラントを対象に、高度な自動化技術やデジタル技術、IT(情報技術)とOT(運用技術)を統合したソリューションを展開し、安全性、生産性、エネルギー効率、持続可能性の向上を目指す。

両社は今回の提携に先立ち、ヴァーレがブラジル・ミナスジェライス州イタビラに建設したコンセイソンⅡモデルプラント(Conceição II Model Plant)で共同プロジェクトを実施。同プラントは2026年6月に稼働を開始した、ヴァーレの「未来の鉱山」戦略を象徴する高度な鉄鉱石処理施設である。

ABBは同プロジェクトで、コンサルタント、システムインテグレーター、技術プロバイダーとして参画。高度な産業オートメーション、デジタル化、IT/OT統合技術について、開発から検証、相互運用性、拡張性の確保までを支援し、操業の最適化、安全性、持続可能性の向上に取り組んだ。

年間処理能力1,120万tのコンセイソンⅡモデルプラントには、施設全体に100台以上の監視カメラを設置したほか、先進的な計測機器やセンサーを含む7,000台以上の機器を自動化した。また、データインテリジェンスを活用し、鉱石処理工程全体で400以上の変数を制御・管理・最適化する仕組みを構築。操業フローも見直し、故障の予兆を把握して計画外停止の回避につなげている。

2024年の導入以降、コンセイソンⅡではデジタル変革の効果が顕在化している。生産性は25%向上したほか、直接還元用プレミアム鉱石の生産量が40%増加、尾鉱中の鉄損失は26%削減された。また、現場での手作業による介入を減らし、作業員の危険への曝露を抑えることで、操業安全性の向上にも寄与している。

今回の戦略提携では、このモデルプラントで得られた成果と知見を他の鉄鉱石処理プラントへ段階的に展開する。ヴァーレは自動化、AI、デジタル化技術の適用範囲を広げ、プロセスの予測可能性を高めるとともに、鉱物資源の有効利用や危険作業への人員の曝露低減を図る。

ヴァーレのオペレーション担当バイスプレジデント、カルロス・メデイロス(Carlos Medeiros)は、「モデルプラントプロジェクトによって、AIなどの新技術が従業員の安全性を高めると同時に、鉱山操業の生産性、オペレーション効率、品質を向上させることが示された」と説明。「今回得られた知見を他のヴァーレの事業所にも展開し、プロセスの予測可能性を高め、鉱物資源の利用効率を改善するとともに、人員が危険な作業にさらされる機会を減らす」としている。

一方、ABBプロセス・インダストリーズ部門プレジデントのヨアヒム・ブラウン(Joachim Braun)は、「コンセイソンⅡで達成した成果を基盤として、複数の事業所にわたり、自動化、電化、デジタル化を一貫して展開するための枠組みを構築する」とコメントしている。

ABBは、電化と自動化を中核とするグローバル技術企業で、エンジニアリングとデジタル化の技術を組み合わせ、産業分野の高効率・高生産性・持続可能な操業を支援している。世界で約11万人の従業員を擁し、140年以上の歴史を持つ。

ABBのオートメーション事業は、エネルギー、水、原材料の供給から製品の生産・輸送まで、幅広い産業活動を対象に自動化、電化、デジタル化を提供している。約2万6,000人の従業員と技術・サービス体制を生かし、プロセス産業、ハイブリッド産業、海洋産業などの効率化と環境負荷低減を支援している。

今回の提携により、コンセイソンⅡで実証されたAI・自動化・デジタル技術を他の鉄鉱石処理設備へ横展開し、ヴァーレの鉱山・選鉱事業におけるスマート化を中長期的に加速する。

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