日本精工、12月の販売開始へ、慶應義塾大学病院で実証

日本精工(NSK)は8月19日、ストレッチャーでの搬送を支援する搬送アシスト装置「MOOVO(ムーボ)」の販売に向け、慶應義塾大学病院(東京都新宿区)の協力を得て、院内運用評価を7月に開始したと発表した。実際の医療現場で運用データや知見を蓄積し、搬送業務における課題の整理と医療従事者の身体的負担の定量評価を進める。評価は12月まで実施し、同月の販売開始を目指す。

「MOOVO」は、ストレッチャーに取り付けて使用する搬送支援装置。医療従事者がストレッチャーを押したり引いたりする従来の操作方法を維持しながら、軽い力で搬送できる点が特徴である。特別な訓練や大幅な作業手順の変更を必要としないため、医療現場への導入を容易にする。

駆動・制御面では、フィジカルAIを活用したNSK独自の全方向アシスト制御技術を採用。前後方向に加え、左右移動や旋回など360度あらゆる方向への搬送をアシストし、操作に対して素早く応答することで、自然な操作感を実現した。

同装置は、医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院とNSKが協業し、2024年3月に実用化したリモコン操作型「MOOVO」の運用知見を基に改良したもの。今回の機種では、医療従事者が普段通りストレッチャーを操作するだけで搬送をアシストできるよう、操作性を高めている。

背景には、少子高齢化や労働人口減少に伴う医療現場の人手不足がある。限られた人員で業務を継続する中、医療従事者の身体的負担を軽減し、働きやすい環境を整備することが課題となっている。

NSKは中期経営計画2028でロボティクス事業を重点領域に位置付けており、長年培ってきたトライボロジー技術などを活用して事業拡大を進めている。今回の評価では、実際の病院内での運用を通じて、搬送業務の負担軽減効果や運用上の課題を検証し、製品の実用性向上につなげる。

評価先となる慶應義塾大学病院は、AI・ICT・ロボット技術を病院内に実装し、医療従事者の負担軽減と医療の質向上を目指す「AIホスピタル」の取り組みを推進している。NSKは同病院との連携を通じ、「MOOVO」の医療現場への適用可能性を検証する。

NSKは8月21、22日に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催される「第30回日本看護管理学会学術集会」で今回の院内運用評価について講演するほか、「MOOVO」の実機を初展示する。

■概要

▽装置名=搬送アシスト装置「MOOVO(ムーボ)」
▽用途=ストレッチャー搬送のアシスト
▽特徴=フィジカルAIを活用した全方向アシスト制御、360度の搬送支援、軽い力での操作
▽院内運用評価=2026年7~12月、慶應義塾大学病院
▽販売開始=2026年12月予定

ニュースリリース