ドイツ(DEUTZ):2026年8月6日
ドイツ(DEUTZ)は8月6日、2026年上期(1~6月)の業績を発表した。新規受注高は前年同期比28.7%増の13億3,130万ユーロ、売上高は10.7%増の11億1,530万ユーロとなった。調整後EBIT(特別項目控除前営業利益)は43.1%増の7,970万ユーロ、調整後EBIT率は前年同期の5.5%から7.1%へ上昇した。厳しい市場環境が続く中でも、新規受注、売上高、利益のいずれも2桁成長を確保し、収益性を大きく改善した。
セバスティアン・シュルテ(Sebastian Schulte)CEOは、「地政学的状況を背景に厳しい市場環境が続く中、新規受注、売上高、利益で2桁成長を達成した。サービス、エネルギーなどの成長分野が大きく貢献している。合意したFFG買収は、防衛事業の収益成長にとってゲームチェンジャーとなる」とコメント。防衛事業をグループの主要な柱に育成し、2030年の売上高40億ユーロ、利益率10%という目標を大幅に前倒しで達成する考えを示した。
■FFG買収で防衛事業を強化
ドイツは戦略的変革を加速するため、約16億ユーロ規模の取引により、ドイツの軍用車両メーカー、エフエフジー・フレンスブルガー・ファールツォイクバウ(FFG Flensburger Fahrzeugbau Gesellschaft mbH)の全株式を取得することで合意した。FFGは、装甲回収車、歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車、特殊車両などの軍用車両を開発、近代化、整備する企業で、欧州有数の軍用地上車両・特殊車両メーカーである。
FFGは1,100人超の従業員を擁し、ドイツ連邦軍の主要パートナーの一社であるほか、15カ国以上の軍に製品を供給。約30の車両プラットフォームを支える中核企業となっている。
ドイツは2025年のゾベック(SOBEK)買収によって防衛分野に参入しており、26年7月にはアールエックス・ロボティクス(ARX Robotics)との戦略的提携の一環として、戦場での運用を想定した無人地上システム「ゲレオン(GEREON)」の量産を開始した。今回のFFG買収により、防衛分野でさらに事業基盤を拡大する。
FFGが持つ車両・プラットフォーム技術と長期的な防衛プログラムへのアクセスに、ドイツの駆動システム、エネルギー、量産化技術、グローバルサービス網を組み合わせる。これにより、軍用車両、駆動システム、エネルギーソリューションを一体で提供する「ドイツ製」の総合プロバイダーを目指す。
買収額は約16億ユーロで、現金と新株発行を組み合わせて決済する。FFGの既存オーナー一族は長期的な中核株主として、ドイツAG(DEUTZ AG)の株式を最大29.9%保有する見通し。取引完了には、8月24日に予定される臨時株主総会での現物出資による増資承認などが条件となる。
シュルテCEOは「FFGは今後、防衛事業の中核となる。各事業部門がシナジーと新たな市場アクセスの恩恵を受けられる。買収によって収益・利益の面で新たな段階に入り、事業のレジリエンスも高まる」としている。FFG単体で27年には10億ユーロを超える売上高と20%超の利益率を見込む。
■エネルギー、サービス事業も拡大
エネルギー事業では、2月にフレルク・アグレガートバウ(Frerk Aggregatebau)を買収したのに続き、6月初旬にはブラジルのガス・ディーゼル発電機メーカー、マキシ・トラスト・パワー(Maxi Trust Power)を取得した。中南米での市場基盤を強化するとともに、分散型エネルギー供給ソリューションの提供・システムインテグレーターとしてグローバルネットワークを拡大する。
エネルギー事業は26年度に連結売上高へ3億ユーロ超の収益貢献を見込む。今後5年間で売上高10億ユーロ超への成長を目指す。
サービス事業では6月初旬、米国のジー・アンド・ティー・トラック・リペア(G&T Truck Repair)を買収し、米国におけるアフターマーケット事業を拡大した。
■新規受注28.7%増
26年上期の新規受注高は13億3,130万ユーロ(25年上期10億3,410万ユーロ)となった。エンジン、サービス、エネルギーの主要3事業が受注拡大をけん引した。
エンジン事業では、特に建設機械分野で市場回復の兆しがみられた。サービス事業では、地域別の成長施策を有機・非有機の両面から継続して実施したことで受注量が拡大。20%程度をグループ受注高に占めたエネルギー事業は、受注増加分の半分以上に寄与し、2月に買収したフレルク・アグレガートバウだけで約1億6,000万ユーロを計上した。
6月末の受注残高は7億1,360万ユーロで、前年同期の4億9,090万ユーロから大幅に増加した。
■調整後EBITは43.1%増
売上高は11億1,530万ユーロで、全事業が増収に寄与した。増収額はエネルギー事業が約3,700万ユーロと最大で、サービスが2,800万ユーロ、エンジンが2,300万ユーロ、防衛・その他が1,700万ユーロと続いた。
調整後EBITは7,970万ユーロと、前年同期の5,570万ユーロから2,400万ユーロ増加。エンジン事業は売上増加、工場稼働率の改善、製品構成の好転に加え、コスト削減プログラム「フューチャー・フィット(Future Fit)」の効果により、調整後EBITが1,960万ユーロ増の2,430万ユーロとなった。
サービス事業は5,140万ユーロで、引き続き最大の利益貢献事業となった。エネルギー事業は1,230万ユーロ、防衛・その他は520万ユーロで、利益率はそれぞれ10.6%、10.0%に達した。一方、今後の成長を見据えた構造コストの積み増しにより、利益の伸びは売上高の伸びをやや下回った。
新技術事業(NewTech)は黒字化に至っておらず、グループ全体の調整後EBITを押し下げている。ただし、研究開発テーマを市場志向で絞り込むとともに、厳格なコスト管理を進めた結果、損失は前年同期の1,940万ユーロから1,350万ユーロへ590万ユーロ改善した。
■26年通期予想を維持
営業活動によるキャッシュフローは3,190万ユーロで、前年同期の6,080万ユーロを下回った。受注増加と季節要因による在庫増加のほか、業績連動型給与の支払い増加やフューチャー・フィットに伴う退職金支払いなどが影響した。
M&A前のフリーキャッシュフローはマイナス2,970万ユーロ(前年同期1,440万ユーロ)となった。
26年通期については、連結売上高23億~25億ユーロ、調整後EBIT率6.5~8.0%との従来予想を維持する。M&A支出前のフリーキャッシュフローは引き続き「高い2桁百万ユーロ台」を見込んでいる。
FFG買収による防衛事業の本格的な拡大に加え、エネルギー、サービス事業の買収を通じた成長戦略を加速することで、ドイツは2030年に掲げる売上高40億ユーロ、利益率10%の目標を大幅に前倒しで達成する方針である。
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