牧野フライス、日本産業推進機構の買収提案を拒否、外為法クリアランスと実現可能性に懸念

・同時に60億円の自社株買いを決定

牧野フライス製作所は7月31日、日本産業推進機構による同社株式の買収提案について、応じない旨を回答し検討を終了すると発表した。同日、総額60億円を上限とする自己株式取得も決議。企業価値向上策の一環として、上場を維持しつつ株主還元を強化する方針を明確にした。

同社は日本産業推進機構からの提案を受け、特別委員会を設置して協議を重ね、書面による質疑応答を複数回実施。企業価値および株主共同の利益の最大化の観点から検討を続けていた。しかし、同機構の回答内容から、取引実施に際して外国籍の共同投資家(高リスクに分類される外国政府系投資家を含む)に相応の割合の出資を想定していることが明らかになった。

これを踏まえ、同社は「外為法(外国為替及び外国貿易法)のクリアランス取得の蓋然性が高いとはいえない」と判断。2026年4月にMMホールディングスに対して財務大臣・経済産業大臣が外為法に基づく株式取得中止の勧告を出した経緯と理由を勘案しても、同様の懸念が残るとした。さらに、共同投資家からの資金調達の大部分を外国籍投資家に依存する想定であり、調達が不調に終われば実行資金を確保できず、取引自体が成立しない可能性がある点も指摘。「本提案の実現可能性には懸念がある」と結論づけた。

加えて、提案に示された成長戦略は、同社が5月13日に公表した事業計画「企業価値向上に向けて(2026年更新)」で既に打ち出している内容と類似。取引に伴う資金調達で財務状態の悪化が見込まれる点も考慮し、「当社単独での上場維持と比較して企業価値の向上に資するとの確信を抱くに至っていない」とした。

特別委員会も同日、同様の理由から「本提案に応じず検討を終了することが妥当」との答申書を提出。取締役会はこれを踏まえ、検討終了を決議した。

一方で同社は、同事業計画に沿って収益性向上、資産効率向上、株主還元充実などの施策を推進する方針を再確認。その一環として、総額60億円の自己株式取得を決めた。取得対象は普通株式で、取得し得る株式総数は415,000株(発行済株式総数〈自己株式を除く〉の1.66%)を上限。取得期間は8月3日から12月30日まで。取得価額の総額は60億円(上限)。

なお、同社は同日付で株式分割(1株を5株に分割、効力発生日10月1日)を発表しており、分割効力発生日以降は取得し得る株式総数を2,075,000株(上限)と読み替える。6月末時点の自己株式保有状況は、発行済株式総数(自己株式除く)が2,489万3,841株、自己株式数が150万2,211株。

同社は「安定的かつ継続的な配当および機動的な自己株式取得を通じて株主還元を強化していく」と強調。5年間平均(2025〜2029年度)の総還元性向60%を目指す方針を堅持し、上場企業としての自立的な企業価値向上を加速させる構えだ。

ニュースリリース2

ニュースリリース1