IHI原動機、アンモニア燃料レシプロエンジンの陸用発電実証を開始、2027年度の商用化目指す

IHIは7月15日、グループのIHI原動機(東京都千代田区)が、群馬県太田市の太田工場に6,000kW級アンモニア燃料レシプロエンジンを中核とする陸用発電実証試験プラントを設置し、稼働を開始したと発表した。舶用アンモニア燃料機関で培った技術を展開し、アンモニア燃料比率および温室効果ガス(GHG)削減率90%以上を実現する陸用発電向けエンジンの開発を進める。2026年度中に実証試験を完了し、2027年度中の商用販売開始を目指す。

今回の実証では、エンジン単体の性能評価に加え、燃料供給設備や排気後処理設備、安全対策を含めた発電システム全体の安全性と運用性を検証する。実用化を見据え、設備は設置の柔軟性や省スペース性を考慮したエンクロージャ構造を採用。万一アンモニア漏洩が発生した場合でも、漏洩をエンクロージャ内に封じ込めて除害するシステムを備え、利用者が安心して運用できる設備の実現を図る。

実証設備に搭載するエンジンは、内航船向け主機として開発した1.6MW級「28ADF」をベースに6MW級へ大型化したアンモニア・重油デュアルフューエル機関。V型機関への拡大設計に加え、外航船向け補機「25ADF」の開発で培った発電制御技術も採用した。アンモニア燃焼モードと重油専焼モードの双方に対応し、アンモニア燃料比率とGHG削減率はいずれも90%以上を目標としている。

同システムは国内産業向け電源のほか、国内外の離島、データセンター、鉱山、工業団地など、高効率かつ低炭素な電源を求める用途への導入を想定する。特に、重油や軽油を燃料とする既存ディーゼル発電設備の低炭素化手段として展開し、アンモニア燃料の需要拡大につなげる考えだ。

IHIグループは、アンモニアのサプライチェーン構築と燃料利用技術の両面からアンモニアバリューチェーンの拡大を推進している。火力発電所向けボイラのアンモニア燃料転換やアンモニア専焼ガスタービンの開発に加え、陸用発電向けアンモニア燃料レシプロエンジンをラインアップに加えることで、国内外の低炭素化ニーズに対応する電源ソリューションを強化する。

さらに、2030年代以降のアンモニア利用拡大を見据え、アンモニア利活用技術と燃料需要の創出を進めるとともに、将来的にはCO₂排出ゼロを実現するアンモニア専焼エンジンの開発にも取り組む方針である。

なお、開発のベースとなる28ADFは、世界初の商用アンモニア燃料タグボート「魁」の主機として開発された機関で、アンモニア燃料混焼率およびGHG削減率はともに90%以上、最大約95%を達成。排気後処理装置により排気中のアンモニアおよび亜酸化窒素(N₂O)濃度もほぼゼロを実現している。28ADFおよび25ADFの研究開発は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業の支援を受けて実施された。

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