東京計器が5月11日に発表した2026年3月期(2025年度)連結業績によると、売上高611億8,600万円(前期比6.1%増)、営業利益53億6,200万円(同10.4%増)、経常利益54億9,200万円(同9.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益40億500万円(同5.5%増)となった。主に、防衛・通信機器事業において防衛予算の増加を背景に航空機搭載機器や艦艇搭載機器等の販売が好調であったこと、また、船舶港湾機器事業をはじめとして他の事業においても全て増収であったことから、前期比で売上高は増収となり、営業利益も増益となった。その結果、全ての利益項目が前期比で増加し、営業利益、経常利益は過去最高益を更新した。
2025年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しと公共投資の底堅さを背景に、緩やかな回復基調で推移したものの、中東情勢の緊迫化に伴う資源価格の高騰、円安の進行、中国のレアアース輸出管理の強化等の影響が懸念される先行き不透明な状況が継続した。このような経営環境の下、同社グループは「東京計器ビジョン2030」の実現に向け、2024年度から3年間を成長に向けた飛躍の期間として位置付けた。2024年度からの新たな中期経営計画では、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るステージへと転換していくために、利益の拡大を重視した基本方針として「収益力の向上」を最優先に掲げ、「事業領域の拡大」と「経営基盤の強化」に取り組んできた。
「収益力の向上」については、事業単位の「稼ぐ力」を把握し、各事業の資本収益性と成長性を分析したうえで、事業に対する経営戦略を継続的に検討してきている。
「事業領域の拡大」については、防衛・通信機器事業において、防衛装備庁との研究請負契約に基づき「MEMS-半球共振ジャイロスコープ/慣性航法技術」の研究開発を推進しているほか、防衛市場向けドップラー・ライダーの開発・量産化を目指しメトロウェザー株式会社への出資および業務提携を行った。加えて画像鮮明化技術とAIカメラ技術を融合した製品開発を目指し、株式会社ロジック・アンド・デザインへ出資を行った。また、油空圧機器事業においては、製品である動的再構成プロセッサ(DAPDNA)を利用して、画像検査に用いるエッジAIシステムの研究開発を進めている。さらに、鉄道機器事業においては「慣性式軌道検測装置」の販売を開始した。
「経営基盤の強化」については、全社基幹システム更新を含めたDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、AIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して業務プロセスを改善するだけでなく、製品やサービスのイノベーションによりビジネスモデルそのものを変革し、競争上の優位性を確立すべく取り組んでいる。また、売上高の増加に伴う人員の増強と教育の充実を図り、人的資本を強化している。さらに、本社移転により、持続的な企業価値向上を目指し継続的な事業拡大に対応するための環境整備を行うとともに、従業員にとって快適な職場環境の構築にも取り組んでいる。
■ セグメント別の業績
〔船舶港湾機器事業〕
売上高136億7,500万円(前期比9.1%増)、営業利益13億1,700万円(同15.1%減)。
<売上高の状況> 新造船向け機器の需要が順調に推移したことに加え、前期に引き続き保守サービスの需要が高水準で推移したことから、前期比で増収となった。
<営業利益の状況> 売上高は増加したものの、研究開発費等の増加により、前期比で減益となった。
〔油空圧機器事業〕
売上高118億3,600万円(前期比3.3%増)、営業利益2億2,200万円(同12.7%増)。
<売上高の状況> プラスチック加工機械市場向けは低調に推移したものの、建設機械市場、工作機械市場、及び海外市場向けが堅調に推移したことから、前期比で増収となった。
<営業利益の状況> 販売価格の適正化による利益確保の取り組みや、高付加価値製品の販売強化により原価率が改善したこと等から、前期比で増益となった。
〔流体機器事業〕
売上高54億1,000万円(前期比7.8%増)、営業利益8億7,300万円(同10.6%増)。
<売上高の状況> 官需市場向け超音波流量計及び立体駐車場向け消火設備が順調に推移したことから、前期比で増収となった。
<営業利益の状況> 売上高の増加により前期比で増益となった。
〔防衛・通信機器事業〕
売上高260億1,500万円(前期比6.6%増)、営業利益23億4,400万円(同43.3%増)。
<売上高の状況> 防衛事業の航空機搭載機器、艦艇搭載機器及び、通信機器事業の宇宙関連機器、移動体衛星通信用アンテナスタビライザー等の販売が好調に推移したため、前期比で増収となった。
<営業利益の状況> 売上高の増加、販売価格の改善、製品構成の変化による原価率の好転により前期比で大幅な増益となった。
〔その他の事業〕
売上高42億4,900万円(前期比ほぼ横ばい)、営業利益6億8,400万円(同9.4%減)。
<売上高の状況> 鉄道機器事業は主力の超音波レール探傷車の台数減により減収となったものの、検査機器事業が堅調に推移したため、前期並みとなった。
<営業利益の状況> 鉄道機器事業の売上高の減少により、前期比で減益となった。
■ 今後の見通し
次期(2027年3月期)については、原油・原材料価格の高騰等に端を発した物価上昇と通商政策等の米国の政策動向による影響や、それに伴う金融資本市場の変動への懸念が残る中で、中東紛争の激化やウクライナ情勢の長期化等に見られる地政学リスクの一層の高まりや、中国のレアアース輸出管理の強化等、不確実な状況が継続すると見込まれる。このような経営環境の中、次期の見通しについては、人件費や本社移転に伴う減価償却費の増加が見込まれるものの、防衛・通信機器事業をはじめとして売上高の増加が見込まれることから、全体として5期連続の増収、4期連続の増益を予想している。
2027年3月期の連結業績予想は、売上高683億円(前期比11.6%増)、営業利益64億円(同19.4%増)、経常利益65億1,000万円(同18.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益50億円(同24.8%増)。
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