国際協力銀行(JBIC)、チリ共和国センチネラ銅鉱山拡張事業に対するプロジェクトファイナンス

・日本による長期、安定的な銅精鉱の確保を支援

 ㈱国際協力銀行(JBIC)は3月18日、16日にチリ共和国法人Minera Centinela(以下、Centinela)との間で、センチネラ銅鉱山の拡張事業を対象として、融資金額950百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約を締結したと発表した。融資は、カナダ輸出開発公社、韓国輸出入銀行、ドイツ復興金融公庫(KfW IPEX-Bank)及び民間金融機関(三井住友銀行、Crédit Agricole Corporate and Investment Bank、Société Générale S.A.、Natixis S.A.)との協調融資により実施するもので、協調融資総額は2,500百万米ドル。

 同プロジェクトは、英国法人Antofagasta plc及び丸紅が出資するCentinelaが、チリのアントファガスタ州(第II州)に位置するセンチネラ銅鉱山の新規鉱区を開発の上、選鉱プラント及び関連設備を新たに建設・操業するもの。拡張事業によって増産される銅精鉱のうち一部を日本企業が引き取る予定。

 近年の脱炭素化の潮流の中、銅は電気自動車や再生可能エネルギー設備・機器等に欠かせない金属として、世界的に需要が増加することが見込まれている。日本は銅地金の原料である銅精鉱の全量を海外からの輸入に依存しているため、長期安定的な銅資源の確保は喫緊の課題。「エネルギー基本計画」(2021年10月閣議決定)においても、銅を含むベースメタルの自給率を2030年に80%以上とする目標に加え、国内製錬所における鉱石の調達リスク等を低減するための支援を強化し、強靱なサプライチェーンの構築に取り組む方針が掲げられている。本件は、日本企業が出資参画する銅鉱山の開発及び長期安定的な銅精鉱の確保を通じて、銅製品のサプライチェーン全体の強靱化を支援するものであり、こうした日本政府の政策に沿うもの。

 また、センチネラ銅鉱山は、使用電力の100%再生可能エネルギー化や操業用水への海水利用等、環境に配慮した持続可能な銅生産を行っており、2021年7月にはCopper Mark認証*2を取得している。丸紅は、中期経営戦略「GC2024」において、グリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の一つに掲げており、電化推進に不可欠な銅事業をグリーン事業と位置付けているところ、本件は、日本企業の脱炭素社会の実現に向けたエネルギー変革への対応を後押しする観点から、こうした丸紅のグリーン戦略に基づく取り組みを支援するもの。

 JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本への鉱物資源の安定供給確保及び脱炭素社会の実現に向けたエネルギー変革への対応に貢献していく。

注釈*1 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュフローに限定する融資スキーム。
*2 国際銅協会が2019年に設立した銅産業の「責任ある生産」及びSDGsへの貢献を示す枠組み。同認証取得には、CO2排出量の計測等、ESGに係る全32項目の評価基準に適合する必要がある。

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