パルフィンガー(PALFINGER AG):2026年7月29日
オーストリアの荷役機械メーカー、パルフィンガーは2026年上期(1~6月)決算を発表した。第2四半期に入り、中東情勢の緊迫化や米国の関税政策、顧客の投資判断の遅れなどを背景に市場環境が急速に悪化し、売上高、利益ともに前年を下回った。一方で1億ユーロを超える大型案件を獲得したほか、2027年以降に年間2,500万ユーロの恒久的なコスト削減を目指す構造改革を開始しており、2026年通期は前年を上回る売上高・利益の確保を見込んでいる。
2026年上期の売上高は11億6,560万ユーロ、EBIT(営業利益)は8,410万ユーロ、親会社株主に帰属する当期純利益は4,800万ユーロとなった。
アンドレアス・クラウザー(Andreas Klauser)CEOは、「第2四半期には市場の不確実性が大幅に高まり、主要市場で設備投資の意思決定が遅れた。このような環境下でも『Strategy 2030+』を着実に推進し、AI(人工知能)の活用拡大などによる効率改善と市場競争力の強化を進める」とコメントした。
■グループ全体で構造改革を推進
同社は市場環境の変化に対応するため、グループ全体で構造的な効率化プログラムを開始した。
組織の簡素化、世界規模の生産・調達ネットワークの最適化、自動化やAI活用による生産性向上を柱とし、2027年以降は年間2,500万ユーロの恒久的なコスト削減を目指す。インフレや事業成長が進む中でも、コスト基盤を安定的に維持することを狙う。
■地域別では欧州堅調、北米は関税が重荷
地域別では、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は総じて底堅く推移した。南欧は引き続き好調で、北欧も改善傾向にある。一方、ドイツ政府によるインフラ投資策の効果は現時点では顕在化していない。
北米市場は低水準ながら安定して推移したものの、米国の関税政策が需要を抑制し、収益性にも悪影響を及ぼした。
中南米(LATAM)では、アルゼンチンやブラジルで市場変動が続く中でも、全体としては安定した事業運営を維持した。
アジア太平洋(APAC)は地域差が大きく、インドが引き続き成長をけん引した一方、中国では持続的な市場回復の兆しはまだ見られていない。CIS(独立国家共同体)地域ではロシア市場の縮小が続いた。
■マリン事業は堅調、大型案件も相次ぎ獲得
マリン事業は引き続き好調を維持し、洋上風力発電やクルーズ船向け需要が業績を下支えした。一方、中東情勢の悪化はマリンサービス事業に大きなマイナス影響を与えた。
また、2026年上期には総額1億ユーロを超える大型受注を獲得し、厳しい市場環境の中でも戦略的パートナーとしての地位を強化した。
今後は新型高所作業車「TEC」シリーズの拡販やサービス事業の拡大に加え、インフラ投資、電動化、防衛費拡大を背景とした防衛関連需要が中長期的な成長要因になるとみている。
■通期は前年超えを計画
同社は、中東情勢やロシア・ウクライナ戦争の長期化、米国の関税政策などにより市場環境は引き続き厳しいとの見方を示した。
一方で、多様な産業分野に展開する事業基盤とグローバルな生産・販売体制を強みに、2026年通期は前年を上回る売上高と利益を目指す。
ただし、米国とドイツの景気回復が想定より遅れていることから、2027年に掲げていた財務目標の達成時期は後ろ倒しとなる見通しとなった。2027年目標は売上高27億ユーロ、EBIT利益率10%、投下資本利益率(ROCE)12%超である。
一方、長期経営戦略「Strategy 2030+」で掲げる2030年の目標は据え置いた。売上高30億ユーロ超、EBIT利益率12%、ROCE15%を維持し、「Reach Higher」戦略を継続して推進する方針としている。
■パルフィンガー(PALFINGER)について
パルフィンガーは、クレーンや各種リフティング機器を中心とした荷役ソリューションを世界で展開する機械メーカー。約1万2,000人の従業員を擁し、世界30カ所の生産拠点とグローバルな販売・サービスネットワークを構築している。1999年からウィーン証券取引所に上場しており、2025年の売上高は23億4,000万ユーロだった。
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