極東開発工業、2026年3月期は増収増益も独禁法課徴金で純利益大幅減、来期は業績回復見通し

特装車やごみ収集車などの製造・販売を手がける極東開発工業は5月13日、2026年3月期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の連結決算を発表した。売上高・営業利益・経常利益はいずれも前期を大幅に上回る好調な結果となった一方、公正取引委員会から受けた独占禁止法関連の課徴金を特別損失に計上したことが響き、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で大きく落ち込んだ。連結売上高は1,613億3,200万円となり、前期の1,404億4,900万円から208億8,200万円(14.9%増)の大幅増収となった。国内の特装車需要が底堅く推移したことや、製品価格改定の効果が現れたことが主な要因で、3事業すべてのセグメントが増収を達成した。営業利益は88億7,700万円と前期の66億5,600万円から22億2,100万円(33.4%増)と力強い伸びを示し、売上高営業利益率も前期の4.7%から5.5%へと改善した。経常利益も94億7,800万円と前期比25億8,700万円(37.5%増)の増益となった。

しかし、親会社株主に帰属する当期純利益は36億9,200万円と前期の58億2,000万円から21億2,800万円(36.6%減)と大きく落ち込んだ。公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令および課徴金納付命令を受け、課徴金相当額59億2,500万円(当社分26億100万円、連結子会社の日本トレクス株式会社分33億2,300万円)を特別損失に一括計上したことが主因である。なお、当社グループは課徴金納付命令の内容について一部見解の相違があるとして、減額を求めた取消訴訟を2026年3月に提起しており、今後の司法判断が注目される。

極東開発2025年度データ

■経営成績等の概況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や堅調な企業収益を背景に緩やかな回復が続いた。一方で、諸物価の高騰や米国の通商政策、中東情勢の急速な緊迫化など外部環境の不透明感は拭えない状況が続いた。

こうした中、当社グループは長期経営ビジョン「Kyokuto Kaihatsu 2030」の実現に向けた中期経営計画(2025〜2027年度、3カ年計画)「Creating The Future As One(Ⅱ)」の初年度として、高付加価値製品・サービスを通じた社会的課題の解決、生産性向上による利益体質の強化、企業価値向上を実現する資本政策の推進などに取り組んだ。

業績の押し上げ要因は主として特装車事業の好調にある。国内受注が堅調に推移したほか、トラックシャシの供給改善、継続的な製品価格改定の効果が業績に寄与した。加えて、政策保有株式の縮減を進め投資有価証券売却益57億4,900万円を特別利益として計上したことも収益面を下支えした。

一方、独占禁止法関連損失59億2,500万円の計上が純利益を大きく押し下げ、1株当たり当期純利益も前期の151円74銭から96円04銭へと減少した。財政面では、総資産が2,032億9,700万円(前期比153億4,900万円増)に拡大した一方、純資産は配当金の支払い等により1,149億300万円(同23億6,800万円減)となり、自己資本比率は61.8%から55.7%へと低下した。

■セグメントごとの経営成績

特装車事業は、国内需要の底堅さに加え、製品価格の改定および生産性向上の取り組みが結実したことや、トラックシャシの供給改善が寄与し、売上高は1,352億6,500万円(前期比165億5,600万円、13.9%増)、営業利益は62億9,800万円(同16億2,200万円、34.7%増)といずれも大幅増となった。新製品面でも、BEVシャシ向け電動式ごみ収集車「eパッカー®」の発売や、垂直昇降式テールゲートリフタ「パワーゲート® V800tilt」および車両管理支援システム「K-DaSS®」がグッドデザイン賞を受賞するなど、製品力の強化が着実に進んでいる。海外事業ではインドの第二生産拠点「チェンナイ工場」が2026年2月に竣工し、現地市場での事業拡大基盤を整えた。

環境事業は、プラント建設の受注済物件の工事進捗に加え、バイオマス事業への新規取り組みや熱エネルギー供給事業の開始が寄与し、売上高は180億7,700万円(前期比38億8,300万円、27.4%増)、営業利益は33億3,400万円(同5億6,200万円、20.3%増)と2割超の増収増益を達成した。

パーキング事業は、立体駐車装置のリニューアル・メンテナンスなどストックビジネスの安定収益に加え、新規物件の積極的な受注活動を展開した。また、EV用充電設備設置・充電管理サービス「Charge-mo®(チャージモ)」の普及に向けた取り組みも進め、2026年2月には沖縄県宮古島市と協定を締結した。売上高は86億3,800万円(前期比4億5,000万円、5.5%増)、営業利益は9億6,500万円(同1億1,800万円、14.0%増)となった。なお、2026年4月1日付でパーキング事業を担う連結子会社、極東開発パーキング株式会社を吸収合併し、経営資源の集中と効率化を図っている。

■連結業績予想(来期・2027年3月期)

2027年3月期の連結業績予想は、売上高1,800億円(前期比11.6%増)、営業利益85億円(同4.3%減)、経常利益79億円(同16.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益50億円(同35.4%増)を見込んでいる。1株当たり当期純利益は129円85銭の予想だ。

売上高は引き続き増収を見込む一方、営業利益・経常利益が前期比で減少する予想となっているのは、前期に計上した大型の投資有価証券売却益などの一時的な利益貢献が剥落することが主な理由である。純利益については、前期の独禁法関連損失という特殊要因が消え、正常収益ベースへの回帰が見込まれることから、大幅な増益予想となっている。

なお、中東情勢の緊迫化に伴う資材調達リスクや価格上昇の影響については、現時点での合理的な算定が困難として予想に織り込んでいない。業績に重要な影響が生じた場合には速やかに開示する方針だ。業績修正の可能性は引き続き注視が必要な状況にある。

配当については、2026年3月期の年間配当が1株当たり140円(中間70円・期末70円)となり、配当性向は145.8%に達した。2027年3月期は1株当たり120円(中間60円・期末60円)と前期比20円の減配を予定しているものの、DOE(株主資本配当率)4%以上の水準は引き続き確保する方針だ。

■中長期の経営計画とビジョン

当社グループは2031年3月期(2030年度)を見据えた長期経営ビジョン「Kyokuto Kaihatsu 2030」を掲げており、「サステナブル社会の実現・発展に貢献し業界をリードするグローバルな総合インフラメーカー」を目指している。長期目標として売上高2,000億円、営業利益率10%、ROE10%を掲げる。

現在は長期ビジョン実現に向けた第2ステップとして中期経営計画(2025〜2027年度)「Creating The Future As One(Ⅱ)」を推進中であり、2027年度の業績目標は売上高1,900億円、営業利益率8%、ROE8%としている。

財務方針として、3カ年累計で成長投資に300億円、新規M&A投資に100億円を充てる一方、株主還元は3カ年累計で総額150億円以上、かつDOE4%以上の安定配当を実施する方針だ。5つの基本方針として、高付加価値製品・サービスを通じた社会的課題解決と価値創造、生産性の向上と利益体質の強化、海外事業の成長加速、サステナビリティ経営の推進による魅力ある企業づくり、企業価値向上を実現する資本政策の推進を掲げている。

足元では、インドネシアでの新工場(2026年7月竣工予定)や国内のグループ研究開発拠点「極東開発グループテクニカルセンター」(2026年6月竣工予定)の整備が進んでいる。また、オーストラリアのSTG Global Holdings Pty Ltdのグループ化(2024年12月)を含む海外事業の拡大も加速しており、グローバルな事業基盤の強化が着実に進展している。

サステナビリティ目標としては、2027年度までにCO2排出量を2013年度比28%削減、生産時の廃棄物リサイクル率99%以上の維持、役職者(係長級以上)における女性比率3%達成などを掲げており、財務・非財務の両面での高度化を目指している。

極東開発工業の2026年3月期決算短信