ファナックは5月15日、米エヌビディア(NVIDIA)との協業をさらに強化し、「NVIDIA Isaac Sim」とロボットシミュレーションソフト「ROBOGUIDE」を連携させた高精度デジタルツイン環境や、模倣学習を活用した双腕ロボットシステムなどを公開した。仮想空間でのロボット操作やAI学習、物理シミュレーションを活用し、ロボット導入や立上げの効率化を図る。
ファナックは、NVIDIAのオープンなロボットシミュレーション用レファレンスフレームワーク「NVIDIA Isaac Sim」と、自社のロボットシミュレーションソフト「ROBOGUIDE」との連携を強化した。これにより、仮想工場におけるロボット動作の再現性を高め、より実践的なバーチャルコミッショニング環境を実現する。
今回の連携では、Isaac Simを前面に配置し、ROBOGUIDEが背後でロボット制御を担う構成を採用。両システムを常時接続することで、ユーザーはIsaac Sim上の仮想ロボットを、ROBOGUIDEに接続された教示操作盤からリアルタイムに操作できる。仮想空間上でロボットプログラムの教示や動作確認が可能となり、実機導入前の工程検証やシミュレーションの効率化につながる。
さらに、「NVIDIA Isaac Lab」や「NVIDIA Omniverse」ライブラリを活用することで、ケーブルなど柔軟物の取り扱いや、勘合作業といった従来再現が難しかった工程についても高精度なシミュレーションを可能にした。仮想空間内のロボットは、実機と同じ軌跡やサイクルタイムで動作するため、シミュレーションと実機とのギャップを低減できるという。
一方、ROBOGUIDEを前面に置き、NVIDIAの物理エンジン「NVIDIA PhysX」を活用する構成も導入した。これにより、従来シミュレーションが困難だった「ばら積み取り出し作業」を仮想空間上で再現可能とした。無造作に積まれた部品を物理演算で再現し、3次元ビジョンシステムで認識した上でロボットがピック&プレースを行う。部品の引き抜き可否判定など、現場で発生する実際の挙動も机上で検証できる。
また、展示会では、協働ロボット「CRX」2台による双腕システムを用い、NVIDIAのオープンなロボット基盤モデル「NVIDIA Isaac GR00T N」を活用した模倣学習システムも披露する。柔軟物であるTシャツを折り畳む作業を、オペレーターの動作から学習させ、ロボットが自律的に作業を行う。カメラ画像をリアルタイムで認識しながら動作を生成することで、従来の模倣学習で課題だったぎくしゃくした動きを改善し、滑らかな作業を実現した。
このほか、ファナックはNVIDIAの最新ロボティクス向けコンピュータ「NVIDIA Jetson Thor」プラットフォームも採用した。従来使用していた「Jetson AGX Orin」から「Jetson T5000」モジュールへ更新したことで、AI演算性能は7.5倍以上に向上。人の腕をより迅速かつ滑らかに回避する協働ロボットシステムを展示会で公開する。
ファナックは、5月開催の新商品発表展示会において、仮想空間上のロボット操作、高精度物理シミュレーション、模倣学習による双腕ロボット、自律回避機能を備えた協働ロボットなど、NVIDIAとの連携による最新AI技術を実機展示する予定としている。
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